ビジネスマナー研修で抑えておきたい電話応対編 
ロールプレイング演習の作り方

ビジネスマナー研修で抑えておきたい電話応対編 <br>ロールプレイング演習の作り方

ビジネスマナー研修で抑えておきたい電話応対編 
ロールプレイング演習の作り方

電話応対 

最近、ネット広告(Facebook広告など)でも見かけるようになった電話の受付代行。
確かに仕事をしていて、自分の業務に関係ない営業電話などが掛かってくると、業務がストップしてしまい、集中が途切れてしまうかもしれません。

そのような想いから人気が出てきている電話の受付代行ですが、
電話応対は社会人になったら、絶対的に必要なスキルだと思っています。

コロナが流行し、リモートワークが多くなってきた企業様も多いと思いますが、 リモートワーク下でも社内のメンバーから電話は掛かってきますし、社外のお客様や取引先からの電話を受けることは必ず発生しますよね?完全にはなくなることもありませんので、電話応対は身に付けておいた方が良いスキルなのです。

しかし、電話応対に対して、苦手意識を持っている人は少なくないようです。 このような調査結果もあり、電話応対に対して、約80%の方が苦手意識を持っているようです。

調査結果


社会人を対象に、「電話対応に苦手意識はありますか?」というアンケートを実施したところ以下のような結果となりました。

とても苦手である:56%
少し苦手である:25%
それなりに自信がある:14%
とても自信がある:5%


出典:ベースメントアップス株式会社「電話対応についての調査」実施


【調査概要:仕事に関する意識調査】
■調査日 :2019年12月1日 ~2019年12月7日
■調査方法 :インターネット調査
■調査人数 :300名
■調査対象 :社会人

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このように苦手意識を持っている方は少なくありません。
私自身も新入社員として、入社した頃、電話応対にアタフタしていた記憶があります。

ビジネスマナー研修でも電話応対を行っていると思いますが、
一番のポイントは実際に練習していくことです。

今回は、ビジネスマナーの研修で抑えておきたい電話応対編ということで、
電話応対の流れとロールプレイング演習の作り方をご紹介していきたいと思います。

目次
電話応対の必要性
電話応対の一般的な流れ
電話応対のQ & A10選
電話応対のロールプレイング演習の作り方

電話応対の必要性


そもそも電話応対はなぜ必要なのでしょうか? それは、単純明快、お客様からの問い合わせに対応するためです。

戦前、戦後、電話が一般家庭までに普及されるにつれ、 固定電話というものがコミュニケーションを取るために必要なツールになりました。

電報や郵送では時間がかかりますが、電話は即座にコミュニケーションが取れ、 電話口の相手の目的や意図を理解することができます。

直接会って、商談できないや打ち合わせができないタイミングで、 確認したいことや相談したいことが電話をかければ、できるのです。

そういった理由からも電話というツールはビジネスにおいて重要なツールです。

電話応対が必要だからこそ、電話応対はかなり重要です

電話応対ができていない会社は、「スタッフ教育がなっていない」と思われてしまいますし、 「信頼ができない」「対応が悪くて、不親切」とマイナスなイメージを与えかねないからです。

電話そのものがこの世から無くなるということは、まだないですし、 これからも電話応対は必要、かつ、重要なスキルになってくるのです。

だからこそ、新卒社員や若手社員には、電話応対の受け応えや発信の仕方などの 基本的なマナーを抑えさせ、信頼されるビジネスパーソンに育て上げる必要があるのです。

電話応対の一般的な流れ


電話応対における一般的な流れはこのような流れです。

電話応対 基本的な流れ

電話は基本的に双方向のコミュニケーションで成り立ちますので、 一方的に話をして、終わりという訳ではありません。

電話口の相手とのやり取りは口頭でのベースになりますので、 声のトーン、大きさも大切ですし、あいづちやうなずきといったリアクションも大切です。

電話応対は、報連相といったコミュニケーション時にとても役に立ちますが、 メリット・デメリットが存在しますので、その点をしっかりと頭に入れておきました。

メリット
・連絡のスピードが速い・即時対応してもらえる
・臨機応変な対応ができる
・相手を選ばない

デメリット
・相手の時間を奪う
・声だけで伝える必要がある
・記録に残りにくい
・1対1のコミュニケーションになり、複数人とは同時刻で連絡とれない

電話というツールには、上記のようなメリットもあれば、デメリットも存在しますので、 臨機応変に対応していきましょう。

電話応対のQ&A-10選


ビジネスマナー研修の際に「電話応対」の仕方についてお伝えすると、 よく出てくる質問として以下のような内容が出てきます。

Q1

電話応対をする上で準備すべきものはどんなことがありますか?

A1

電話応対をする際に新人であれば以下のものを手元に用意しておいた方が良いかもしれません。
・一連の電話のフロー図
・部署やスタッフ名がわかる組織図のようなもの
・メモ帳と筆記用具

慣れるまでは、電話の流れがわかるフロー図を見ながら、電話応対をしても良いかもしれません。 また、新人の頃は電話の取り次ぎをすることが多いですが、まだまだ社内のメンバーの氏名を把握できていないことも多いでしょう。その場合は、組織図のように部署名がわかるものやスタッフの氏名がわかるものを手元に用意しておいた方が無難です。

Q2

新人が率先して電話取った方が良いと先輩から言われるけど、なぜ新人が電話を取るべきなのか?

A2

たしかに。新人が電話は率先して取るべきと言われますよね。
なぜ新人が電話を取るべきなのかは2つの理由からだと思います。

①新人が貢献できることが入社したては少ないから


→これは極単純の話ですが、仕事ができる先輩よりも入社したばかりの新人はやれることがまだまだ少なく、先輩たちが電話応対で時間を取られるよりも、新人が電話を取って先輩たちの時間をつくるのも1つの貢献の仕方だと思います。

②電話を取ることで会社がどういった企業と取引をしているのかを知り、仕事への理解度を深める


→電話の中には営業電話もありますが、お客様や取引業者さんからの電話もあります。電話を取ることで、どういった会社からどんな内容の電話がかかってくるのかを知り、仕事の知識を身に付けるのに役に立てられるはずです。

このような理由から新人が取った方が成長につながるのだと思います。

Q3

電話を掛けない方が良い時間帯はありますか?

A3

電話をかけない方が良い時間帯は昼食時の12時から13時はかけない方がいいでしょう。
お昼休憩は大切な休息時間です。休みが取れるよう配慮しましょう。また業務時間終了後の夜遅い時間帯に掛けるのも配慮が足りていないと思われるかもしれませんので、要注意です。

Q4

電話をかけた相手が不在だった場合はどうするべきですか?

A4

電話先の相手が不在だった場合は、対応は2つです。
戻り時間を聞き、改めてお電話する旨を伝えて、掛け直す。もしくは、折り返しお電話いただきたい旨の伝言をお願いし、連絡先を伝えて掛けてもらうか。です。 掛け直す場合は、「お戻りは何時ごろのご予定でしょうか?」「それでは改めてこちらからご連絡を差し上げます。ありがとうございました」など掛け直す旨を伝えましょう。関係性にもよりますが、極力、掛け直す旨を伝えて掛けなおした方が丁寧な印象を与えられます。

Q5

電話を切るときの注意点はありますか?

A5

電話を切る時には卓上電話の際は雑に受話器を置かないように気を付けましょう。ガチャ切りと言われないようにフックを押してから受話器を置くと丁寧です。 電話を切る時はかけた方から切るのが基本的なマナーです。しかし相手がお客様の場合には相手が電話を切ったことを確認してからこちらも受話器を置くように心がけましょう。

Q6

よく電話が鳴ったら3コール以内に出て!と言われますが、なんで3コール以内じゃないとダメなんですか?

A6

良く聞かれる質問です。なぜ3コール以内が良いかというと待たせすぎないからです。
電話のコール音は1回で約3秒間と言われています。そのため、3コールだと約10秒近い時間、電話を繋がるのを待っているということになります。 実際、10秒という時間は待ってる身としては、結構長いものです。特に仕事の現場では、取引先を待たせてしまうなど悪い印象を与えかねません。待たされているという感覚はフラストレーションを生みます。

Q7

なぜビジネスシーンでは「もしもし」と言っちゃったダメなのか?

A7

電話が普及し始めた頃、当時は相手に直接つながらずに 電話交換手に電話をつないでかけないと、目的の相手に電話をかけることが出来なかったのです。その際、電話交換手が電話対応を行う際の「申し上げます、申し上げます」という言葉遣いが語源となり、略語化され、もしもしになったそうです。対お客様や取引先様に対して、略語を伝えるのはよろしくないということでマナー的に控えた方が良いとされているのです。

Q8

電話を受けたが相手の声がかなり聞こえづらいときはどう対応すべき?

A8

聞きとりづらい場合は、訊き直すことが絶対、必要です。相手の名前を間違えるほど失礼なことはないので、しっかりと聞き取ります。その際は、「恐れ入りますが、少々お電話が遠いようなので、もう一度お名前をおっしゃっていただけますか?」などと聞き返せばよいでしょう。「お声が小さいので」など、相手を責める言い方は絶対にしてはいけません。

Q9

電話を取り次ぐ際にお待たせできる範囲はどれぐらいの長さ(時間)までですか?

A9

基本的に取り次ぐときに相手を待たせないためにも、保留にするのは30秒程度です。30秒以上かかってしまいそうな場合は、折り返しのお電話をする旨を伝えるか、もう1分ほどお待ちいただけるかどうか確認をした方が良いです。待たせることで、「相手の電話代がかかる」「相手の時間を奪ってしまう」という意識を持った方が良いでしょう。

Q10

掛かってきた電話の内容が対応できない難しい内容の場合は、どうすれば良いのか?

A10

かかってきた電話の内容が難しく、自分で解決できない場合もあります。先輩、上司に相談してから折り返しの電話をかけたい時には「恐れ入ります。その件に関しましては<少々お時間を頂戴したいのですが、折り返しお電話を差し上げてもよろしいでしょうか?」と相手に確認し、再度、ご連絡しましょう。

よく研修中に出てくる質問を10個、ご紹介しました。
このような点を疑問に感じるようです。参考になれば幸いです。

電話応対のロールプレイング演習の作り方


電話応対で必要なことは、どれだけ数をこなせるか。 だと言われています。

しかし、闇雲に「鳴ったら出てくれれば良いから」や「電話ぐらい出れるでしょ」と指示を出しても、なかなか動けないのが実際のところです。

携帯電話の普及によって、家電が減ってきている中で育ってきて、固定電話への不慣れさや、知り合いとしか電話をしないことが多く、フォーマルでかしこまっている電話のやり取りに苦手意識を持っているからです。
※これは仕方がないことです。みなさんも逆に新しいSNSが出てくるとついていけなかったり、難しいからやめようと思ったりすることもありますよね?電話もそうですが、コミュニケーションのツールは時代によって変化するものです。

苦手意識を持っているときは小さな成功体験、できそうだなという感覚が大切になってきます。

だからこそ、まずはやってみるという精神も大事ですが、取る前にロールプレイングを通して、練習をさせることが次の一歩につながるのです。

ロールプレイング演習では、2人組。もしくは3人組になって進めましょう。
2人組の場合は、電話をかける側、電話を受ける側に分かれて、実際の電話の流れをイメージして、練習していきます。 3人組の場合は、電話をかける側、受ける側、さらに観察者(オブザーバー)に分かれ、オブザーバー側が第三者的な視点から受ける側、かける側へフィードバックをしていきます。

ロールプレイング演習を始める前に、講師がかける側を演じ、受講生1人に受ける側をやってもらい、 全員で、ロールプレイングの見本を見させた上で、練習をさせた方が取り組みやすくなります。

また緊張感を持たせた方が受講生は真面目に練習をしようとしますので、 現場を想定して、固定電話を用意しておくか、それが難しい場合は携帯電話を活用して、電話のやり取りを行わせると良いでしょう。

こういったロールプレイングは、緊張感を持たせないと、ただテキストを読み上げるだけで終わってしまいます。 なるべく緊張感を持たせられるように環境づくりを意識していただけると学びに繋がりやすくなるでしょう。

演習問題のケースは、よくかかってくる電話やよくかける内容を考慮して作った方が良いでしょう。今回は3つのシーンを想定して作ってみました。
※3つのシーン以外にも、前述の10個のQ&Aで出てきた質問をもとに、こういった電話の場合は、「応対が難しくなる」というシーンを想像して、作成してみるのも演習問題を作る上では大切な方法です。

ケース①:同じ部署に同性の人間がいる場合

「品質管理部には、山田が2名おりますが、男性でしょうか、女性でしょうか?」
「経理部には、男性の鈴木が2名おりますが、下の名前はおわかりでしょうか?」
「失礼ですが、ご用件をお伺いできますでしょうか?」


→同性で下の名前もわからない場合は、応対者が用件を聞き、内容からどちら宛ての電話なのかを判断しましょう。

電話応対 ケース①同じ職場に同姓がいる場合

ケース②:取り次ぐ社員が遅刻している

×「申し訳ございません。○○は少し遅刻しておりまして…」
○「申し訳ございません。○○は本日、立ち寄りがございまして…」


→遅刻していると言うと会社全体のイメージダウンにつながることがあるので、「立ち寄り」と伝えた方がベストです。

電話応対 ケース②取り次ぐ社員が遅れている場合

ケース③:相手の声が小さくて聞き取りにくいとき

×「恐れ入りますが、もう少しはっきりお話しいただけますか?」
○「恐れ入ります。お電話が少し遠いようなのですが、もう一度おっしゃっていただけますか?」


→相手が不快な思いをしないよう、電話のせいで聞き取りにくいような言い方をするのが一般的です。

電話応対 ケース③相手の声が小さくて聞き取りにくい場合

改めて、、、になりますが、電話応対のロールプレイングは、よく活用されるシーンやよく電話の相手から質問されることをメインに作成し、研修時に練習をさせると良いでしょう。


今回は、ビジネスマナー研修で押さえておきたい電話応対のロールプレイング演習の作り方を考えていきました。

電話応対はとにかく数をこなすことです。 現場に出る前に、配属になる前にしっかりと練習をさせて、本番でもできるように意識とスキルを身につけさせてあげましょう。


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「マナーの達人」


【執筆者情報】

ビジネスゲーム研究所 米澤徳晃

研修会社に入社後、研修営業、研修講師業に従事。その後、社会保険労務士法人で人事評価制度の構築やキャリアコンサルティング活動に従事。その後、独立。講師登壇は年間50登壇を超え、講師としてのモットーは、「仕事に情熱を持って、楽しめる人たちを増やし続けたい」という想いで、企業研修を行っている。

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