「勉強会を開いても人が集まらない」 そんな悩みを抱えている組合役員の方は少なくありません。確かに、かつてのように“組合に入るのが当たり前”という時代は終わりを迎えつつあります。背景には、働き方や価値観の多様化、労働市場の流動性の高まり、そして企業と社員の関係の変化があります。 今、求められているのは「共感」と「実感」を得られる組合活動です。 その実現に向けて注目されているのが、ビジネスゲームという“体験を通じた学び”の手法です。これは、参加者同士がチームで課題に取り組み、対話や意思決定、振り返りを行いながら学ぶ形式であり、「楽しい×学べる」を両立できる教育アプローチです。 「これまで「参加したがらなかった」人たちが前のめりになる。
それだけでなく、職場に戻ってからの行動変化にもつながる——。」 そんな可能性を秘めた体験型学習の魅力を、労働組合の現場課題と照らし合わせながらご紹介していきます。
労働組合の本来の役割と、現場で求められている変化
なぜビジネスゲームが、組合活動にフィットするのか?
組合活動における活用シーンと期待される効果
導入時のよくある不安とその解決策
労働組合活動で目的別に選べる「おすすめビジネスゲーム7選」

労働組合の本来の役割と、現場で求められている変化
■ 従来の役割
労働組合は、以下のような基本的役割を担ってきました。 1. 労働条件の維持・改善組合の代表的な役割は、賃金や労働時間、福利厚生といった労働条件の交渉です。春闘や労使協議での交渉を通じて、組合員の働き方をより良いものにしていくことが使命です。 2. 労働者の権利保護
ハラスメント、パワハラ、不当解雇、退職強要、配置転換など、現場で起こり得る理不尽から労働者を守るセーフティネットとして機能します。 3. 組合員の声を集める代表機関
現場の課題や不満、提案を吸い上げ、経営層へ適切に伝達する「意見の代弁者」としての役割があります。職場アンケートや面談、定例会議などを通じて組合員との対話を重ねます。 4. 教育・研修の提供
労働法や組合の役割に関する研修はもちろん、リーダーシップや報連相、職場改善など“人を育てる”活動にも力を入れる組合が増えています。
■ 現場からの声に見る、組合活動の課題と変化
しかし現場では、以下のような課題が日常的に発生しています。 ✓ 「若手が組合に興味を持たず、活動が高齢化している」✓ 「研修を実施しても知識が定着しない」
✓ 「ハラスメント防止研修を受けたのに現場では変化がない」
✓ 「支部ごとの活動に温度差がある」 こうした課題の背景には、組合活動が「義務的」「形式的」なものになってしまい、本来の“人を支え育てる役割”が伝わっていないという構造的問題があります。 時代が変われば、アプローチも変えなければならないのです。

なぜビジネスゲームが、組合活動にフィットするのか?
近年、多くの組合活動において「研修や勉強会をしても効果が見えづらい」「参加率が下がっている」といった課題が見られます。それは、従来の一方向的な学び方では、もはや現場の多様な価値観に対応しきれなくなっていることを示しています。 そんな中、注目されているのが“ビジネスゲーム”です。ゲームと聞くと軽く聞こえるかもしれませんが、その実態は“高度な教育デザインに基づく体験型研修”。ここでは、なぜ今、ビジネスゲームが組合活動に適しているのか、その理由を4つの視点から掘り下げます。
【1】体験型で学べるから、定着しやすい
人は「聞いたこと」よりも「やったこと」を覚えています。ハラスメントの知識を座学で聞くだけでは、“どのような場面で”“どう行動すべきか”までは身につきません。 たとえばあるビジネスゲームでは、「上司役」「部下役」「傍観者役」に分かれて問題行動に対処する場面を体験します。自ら演じ、感情を伴った体験をすることで、「自分の一言が相手にどう響くのか」「傍観することで組織にどんな悪影響が出るのか」を“感覚として”理解できます。これは座学では得られない学びです。【2】参加者同士の対話が生まれる
ゲームの中では、ミッションを成功させるために情報共有・相談・意思決定が必要になります。これが自然な「対話」の場となり、普段交流の少ない部署や世代を超えてコミュニケーションが生まれます。 たとえば「改善提案ゲーム」では、現場での課題を洗い出し、グループで議論しながら改善策を決めていきます。ここで出てくるのは単なる意見ではなく、「なぜそう思うのか」「その提案が現場にどう影響するのか」という“深い対話”です。こうした対話は職場の風通しや関係性を大きく改善するきっかけになります。【3】世代間の“壁”を超えることができる
ベテラン組合員と若手の間には、価値観や業務への取り組み方にギャップがあることが少なくありません。「今の若手は受け身だ」と嘆く声も聞かれますが、実際には“発言できる場がない”だけの場合も多いのです。 ゲームでは、若手がリーダー役を務めたり、発想力でグループをリードしたりする場面も頻繁にあります。上司が部下の意見に耳を傾け、ベテランが若手の柔軟な発想に驚く——こうした体験は、世代間の相互理解と信頼の醸成に直結します。【4】楽しさと学びを両立できる
研修というと「真面目で堅苦しい」という印象がつきものですが、ゲーム形式であれば「楽しいから自然に参加したくなる」環境をつくることができます。 特に「学ぶ意欲が高くない層」へのアプローチにおいては、楽しさが導入の鍵となります。参加者の「笑顔」と「前のめりな姿勢」が、学びの質を大きく高めるのです。 ビジネスゲームは、ただ“楽しい”だけのものではなく、組合活動における「学び・対話・信頼・行動変化」を生み出す優れた教育ツールです。次章では、このゲームがどのようなシーンで効果的に活用できるのかを、具体的にご紹介していきます。
組合活動における活用シーンと期待される効果
ビジネスゲームは、組合活動のあらゆる場面に活用できます。研修、交流会、改善提案、役員育成など、活動の目的に応じて最適な形で導入することが可能です。 ここでは、4つの主要な活用シーンに分けて、それぞれの目的と期待できる効果を見ていきましょう。
【1】教育研修での活用
目的:ハラスメント防止・報連相・意思決定力・メンタルヘルス対応など効果:実践的な知識の定着と職場での行動変化 実際の事例として、ある自治体労組では「パワハラ防止カードゲーム」を導入。参加者からは「職場でありがちな事例が多く、具体的に考えられた」「“これはセーフなのかアウトなのか”という判断基準を見直すきっかけになった」と高評価でした。 このように、研修内容を“他人事”から“自分ごと”へと変化させる力が、ビジネスゲームにはあります。
【2】組合イベントでの活用
目的:定期大会、レクリエーション、支部交流、若手歓迎会効果:参加率向上、部署・世代を超えた関係構築、組合活動への親近感 ある電力系労組では、支部対抗形式のビジネスゲーム大会を開催。終了後のアンケートでは「久しぶりに笑った」「他の支部の人と初めてまともに話した」という声が多数寄せられました。普段関わりの少ないメンバー同士の関係構築にも有効です。
【3】リーダー育成での活用
目的:役員候補者・中堅社員へのリーダーシップ教育効果:合意形成力、問題解決力、視野の拡張 リーダー育成においても、ビジネスゲームは非常に有効です。たとえば「プロジェクトシミュレーション」型のゲームでは、限られた時間と情報の中でメンバーをまとめて意思決定を行うため、ファシリテーション力や柔軟なリーダーシップが鍛えられます。
【4】職場改善活動への活用
目的:安全衛生活動、業務カイゼン、改善提案支援効果:当事者意識、ボトムアップ提案、行動の継続性 ある製造業の組合では、業務改善カードゲームを通じて「まずは現場でのムダを見つけて改善案を出す」訓練を実施。これにより、毎月の改善提案数が前年比150%に増加したという実績があります。 組合活動の目的が「守る」から「育てる・つなげる」へと進化している今、ビジネスゲームはその変化を後押しする強力なツールです。次章では、導入に際してよくある不安や課題に対し、現実的な解決策を紹介していきます。
導入時のよくある不安とその解決策
「良さそうなのはわかるけど、実際に導入できるか不安…」 これは、初めてビジネスゲームの導入を検討される組合の方から最もよく聞かれる声です。 ここでは、導入前によくある疑問やハードルと、それに対する具体的な解決策を紹介します。
Q1.「研修でゲームなんて…ふざけて見られないか?」
→ A. ビジネスゲームは“遊び”ではなく、“体験的学習”として開発されたものです。目的や学習効果を冒頭で説明することで、参加者の意識は引き締まり、学びへの姿勢も変わります。
Q2.「誰が進行するの?うまくできるか不安」
→ A. 多くのゲームには司会進行用の台本・スライドが付属しています。事前に練習しておけば、組合役員でも十分に進行可能です。どうしても不安な場合は、ファシリテーター派遣サービスの利用も有効です。
Q3.「予算が限られている…高くない?」
→ A. ゲームによっては1回5万円前後で実施できるものもあります。10人で行えば1人あたり5,000円。30人なら約1,700円。外部研修に比べても費用対効果は非常に高いです。
Q4.「効果が出るか心配…」
→ A. 導入後のアンケートや振り返りシートを活用することで、参加者の変化や満足度を可視化できます。必要に応じてフォローアップ研修をセットにすることで、さらに効果を高めることも可能です。 “効果が出るか分からない”“うまくできるか不安”という導入前の不安は、どの組織にも共通です。しかし、それを乗り越えて実施した組合の多くが「やってよかった」「職場が変わった」と実感しています。次章では、そうした変化を起こす第一歩としての導入に向けたまとめと展望をお伝えします。
ゲームにご興味ある方はお問い合わせください。
労働組合活動で目的別に選べる「おすすめビジネスゲーム7選」
次回は、組合活動の目的別に活用できる「ビジネスゲーム7選」をご紹介します。
合意形成(コンセンサス)系ゲームのご紹介
合意形成系ゲームを労働組合での研修で取り入れると、一番大きい効果は委員会活動の運営やミーティングに仕方を強化できるという点ではないでしょうか
コンセンサスを行うことで、参加者の納得度が高まりやすくなります。それは、何かを一方通行で渡されるものではなく、参加者同士が話し合い、お互いの意見の一致を行うプロセスを経るからだと言われています。 コンセンサスを行うことで、当事者意識が持て、納得度が増す訳です。人は合意している事柄には、自分自身が決定し参加していると認識するため当事者意識も生じると言われています。
会社の理念やビジョンが浸透しづらい要因も前述したような理由が多いようです。経営陣から一方通行で下りてきたものに対しては、思い入れもないため、想いは持ちづらくなります。ですが、検討会や質問会などがあって、意見の擦り合わせができる機会などがあると納得度や当事者意識は高まりやすくなります。 コンセンサスのスキルを向上させるには、いくつか方法がありますが、 まず取り組んでもらいたい初級編が「コンセンサスゲーム」と呼ばれるものです。①NASAゲーム
NASAゲームは、チーム内で、アイテムの優先順位を話し合い、メンバーとの合意形成を行うゲームです。設定は、月に不時着した宇宙飛行士となり、320km離れた母船に戻るため、手元に残った15個のアイテムに対して優先順位をつけていく、というゲームです。
1.参加者を4~6人ずつのグループに分けます
2.始めに、個人でアイテムの優先順位と理由を考えます
3.次にグループで話し合い、グループとしての優先順位と理由を決めていきます。
4.正解とグループの答えがどれだけズレたかを計算し、チーム効果を測ります。
適当や妥協して順位をつけるのではなく、正解だと思うロジック(筋道)を明確にし、メンバー間の合意の上で決定することが求められる内容です。
このゲームの面白いポイントは、NASAによる模範解答があり、模範解答に最も近いチームの勝利となります。
詳細は、下記のページを参考にしてみてください↓↓
NASAゲームの紹介ページ:https://business-games.jp/teambuilding_nasa/
②砂漠からの脱出ゲーム
「砂漠からの脱出ゲーム」は、先程のNASAゲームと同様のゲームで、メンバーとの合意形成を行うゲームです。設定は、「搭乗していた飛行機が到着予定の場所から100km離れた砂漠に不時着してしまいました。生き残るために、手元に残った12個のアイテムに対して、優先順位をつけて決めていく」、というゲームです。
1.参加者を4~6人ずつのグループに分けます
2.始めに、個人でアイテムの優先順位と理由を考えます
3.次にグループで話し合い、グループとしての優先順位と理由を決めていきます。
4.正解とグループの答えがどれだけズレたかを計算し、チーム効果を測ります。
適当や妥協して順位をつけるのではなく、正解だと思うロジック(筋道)を明確にし、メンバー間の合意の上で決定することが求められる内容です。
このゲームの面白いポイントは、専門家による模範解答があり、模範解答に最も近いチームの勝利となります。
詳細は、下記のページを参考にしてみてください↓↓
砂漠からの脱出ゲームの紹介ページ:https://business-games.jp/teambuilding_sabaku/
ロジカルシンキング系ゲームのご紹介
ロジカルシンキング系のゲームを導入するメリットは、小難しいロジカルシンキング(論理的思考)を楽しく学び、身に付けることができるからです。論理的思考を身に付けることで、状況把握の精度や情報収集の精度が上がります。そういった点からも論理的思考を身に付けることで仕事の質は高まるのです。しかし、一般的に論理的思考は、難易度が高いと思われ、難しさを感じるようです。(私自身も新人の頃は本を読んでも「難しいな」と感じたのを覚えています・・・) ゲームを活用することで、情報整理術などに役立つロジカルシンキング(論理的思考)を楽しく学ぶことができるのです。
③7人の人事異動当てゲーム
7人の人事異動当てゲームとは、各自に配られた情報カードをもとに7人の係長の人事異動先を当てるというゲームです。実施イメージとしては以下のような内容です。ワーク状況
今日の13時から臨時の役員会議が開かれることになり、
急遽1週間後に行われるはずだった係長たちの人事異動の最終決定が、この臨時の
役員会議で行われることになりました。(現在は、12時20分です)
しかし、困ったことにその原案は人事課長が保管しており、
その人事課長が出張に行ってしまっており、夕方まで連絡が取れません。
課長のデスクを見回しても、書類を探しても見当たりませんでした。
この人事異動の検討は各部の部長を集めて行いましたが、その会議に出席した部長は、
部分的にしか覚えていなかったり、間違ったらイヤだからと言ったりして教えてくれませんでした。
ただ各部長から絶対に間違いないだろうという「情報」をいくつか手に入れられました。
断片的な情報ではありますが、この情報をもとに決定した人事異動を調べないと、
臨時の役員会議で話し合いができないため、
残りの時間で7人の異動先を突き止めてください。
配られるカードのイメージは写真のような内容です。
・生産部の井伊と技術部になった人は同じ大学の出身者である
・開発部の織田は、既婚者で1年前に技術部から開発部に移ってきた
・総務部の大谷は経理部、総務部、人事部以外の部署に異動することが決まっていた
●効果
7人の人事異動当てゲームは制約条件がある中でのコミュニケーションの難しさを理解してもらえます。また雑多な情報をいかに整理して、わかりやすく解いていくかが肝になり、ロジカルシンキングの研修でも使用することができます。
●時間(目安)
45分~60分
7人の人事異動当てゲームのご紹介ページ↓↓
https://business-games.jp/communicationgame_jinjibu/
リーダーシップ/フォロワーシップ系ゲームのご紹介
リーダーシップ系のゲームを導入するメリットは、リーダーとリーダーシップの違いについて理解して、新人でも発揮できるリーダーシップについて学ぶことができるからです。 指示待ち受け身的な考えでは無意識のうちに自分自身の行動を制限してしまい、行動量が増えていきません。その結果、成果が出づらくなるのです。リーダーシップを発揮することで主体的に行動が取れるようになり、成果が出やすくなることを体感的に理解してもらうことができます。
④商談の達人
【概要】
参加者が3〜6⼈程で1つのチーム(企業)を組み、自動車メーカーとなって、自動車の製造・販売を行う経営シミュレーションゲームです。 他の企業と様々な交渉を行いながら、資源や資金を手に入れ、製品をつくり、顧客に販売することで、自社の売上を拡大させることが目的です。
商談の達人では営業や交渉の際に必要となる相手目線や顧客目線の大切さをゲームを通じて体感できます。相⼿を尊重した「Win-Win」の関係性の重要性に気付くことができるのでコミュニケーションの取り方が改善されていきます。
マーケティング系ゲームのご紹介
マーケティング系のゲームを導入するメリットは、マーケティング的な発想や思考は座学ではなかなか身に付きづらいのですが、ゲームで体験することでマーケティング的な知識を若手の頃から養うことができるからです。営業だけでなく、他の職種だったとしても、マーケティングは必要です。お客様から選ばれるためには、どういった戦略が必要なのか?や、どういったマーケティング的な視点が必要なのか?を体感してもらうことができるのです。
⑤ビズストーム
【概要】
ビズストームとは、経営を模したボードゲームをプレイすることで、ビジネスに必要な要素を体感的に学び、実践につなげられる研修用のビジネスゲームです。 財務やコミュニケーションを重視したビジネスゲームが多い中、ビズストームは、経営戦略やマーケティングを重視したゲームとなっており、3C分析や経営戦略が求められます。
「顧客に価値を提供し、競合の中から選んでもらう」というビジネスの原則を起点とし、そのためにビジネス全体をどう組み立てるかという視点を身につけることができます。営業に必要なマーケティングの知識もそうですし、自社商品の魅力をどう伝えるかを考えるキッカケになると思います。
財務会計系ゲームのご紹介
財務会計系のゲームを導入するメリットは、新入社員に対して、売上や利益の構造をしっかり学ばせることで、自分たちがどれだけ成果を出す必要があるのかを意識してもらうことができるからです。新入社員はすぐに成果が出せる訳ではありませんが、仮に20万円の給与だとしてどれだけ売上を作る必要があるのか?どれだけ利益を獲得するべきなのかを把握できているのとできていないとでは1つ1つの生産性が変わってくるはずです。ゲームを通じて、財務の知識をしっかりと吸収してくれるはずです。
⑥ストア・オーナーズ
ストア・オーナーズのゲーム設定ストア・オーナーズのゲーム設定は下記のような内容です。
「ストア・オーナーズ」は飲食店のオーナーとなって、食材などの仕入れ、集客・接客を行い、店舗の業績向上を目指す経営シミュレーションゲームです。 座学では教えることが大変な財務・会計知識をゲーム通して、楽しみながら学ぶことで、興味をもってもらう「キッカケ」となります。
約15ターンの経営ラウンドを1期として、 計2期での最終利益を競い合います。
学びのポイント
ストア・オーナーズは貸借対照表、損益計算書などの会計・財務知識をゲームを通じて学ぶことを目的としたボードゲームです。
ゲームはBtoC向けのサービス企業で成り立っております。
報連相系ゲームのご紹介
報連相系のゲームを導入するメリットは、報告・連絡・相談の流れをゲームで体験してもらうことで、報連相を行わなかったときに起こり得る問題や発生する損失を頭と体でしっかりと理解させられます。また新入社員研修時に、報連相は必ず学ぶと言っても過言ではないのですが、演習やワークで実践させないと、「なんとなくの感覚でやればいいか」で終わってしまう可能性があります。そこでゲームで経験を積ませることで、なんとなくの感覚ではなく、具体的にどういうときに使うべきなのか?(どういったときに報告すべき?どうなったら相談すべき?)といった報連相のコツをしっかりと掴むことができるのです。
⑦報連相パズル
報連相パズルは、報連相のスキルを実践的かつ楽しく学ぶことができるビジネスゲームです。特に新入社員研修やチームビルディングの一環として活用されることが多く、参加者が実際のビジネスシナリオを模した課題に取り組むことで、自然と報連相の重要性を理解し、スキルを身に付けることができます。このゲームの設定では、各自与えられた役割を担い、指令書に沿ってミッションをクリアすることが求められます。
報連相パズルのルール
●役割とカードの配布各プレイヤーには5枚のカードと1枚の指令書が配布されます。 指令書やカードは他の人に見せたり口頭で伝えたりしてはいけません。 ●コミュニケーションの方法
チームメンバー間のコミュニケーションはメモのやり取りのみで行います。 メモの使用枚数は1チームあたり50枚までに制限されています。

メモを渡す際には、fromとtoの欄に必ず名前を記載します(略称可)。 カード交換は、メモで連絡可能な相手としか行えません。同時に同じ枚数のカードを交換する必要があります。 ●ゲームのクリア条件
ゲームのクリア条件はマネージャーの指令書にのみ記載されています。他のメンバーはこの情報を知らされていないため、コミュニケーションを駆使して条件を達成する必要があります。具体的には、各メンバーが指定された種類のカードを5枚集めることが求められます。 報連相パズルでは、各チームが自分たちの役割を演じながら、限られた時間内に課題を解決することを目指します。チームメンバーは、定期的に「報告」を行いながら、情報を共有し合い、「連絡」を徹底して全員が同じ状況を理解し、「相談」を通じて最善の解決策を見つけることが求められます。 この過程で、各チームは報連相の実践方法を学び、それぞれの役割や責任に応じた行動を取ることの重要性を体感します。 【報連相パズルのポイント】
このゲームのポイントは、実際の業務に近い環境で報連相のスキルを磨くことができる点です。ゲームを通じて、参加者は報連相のタイミングや方法の重要性を体感し、どのような状況でどのように行動すべきかを学びます。また、ゲーム終了後には振り返りの時間が設けられ、参加者同士で気づきを共有したり、フィードバックを受けたりすることで、学びを深めることができます。報連相を日常の業務で効果的に実践するための具体的なスキルを養うことが、このゲームの最大の特徴です。 【人数】
報連相パズルは、1チームあたり5〜6名のメンバーで行うことが推奨されています。これにより、各メンバーが積極的にコミュニケーションを取り、報連相を実践する機会を十分に持つことができます。複数のチームが同時にゲームに参加することも可能で、全体の参加者数を柔軟に調整できます。

ゲームの所要時間は約1〜2時間が理想的です。これにより、参加者は報連相のスキルをしっかりと学びながらも、集中力を維持したままゲームを楽しむことができます。ゲーム終了後の振り返り時間も含めると、全体のプログラムは約2時間となります。 【運営方法】
報連相パズルの運営には、進行役(ファシリテーター)が必要です。進行役は、ゲームのルール説明やシナリオの進行管理、各チームへのフィードバックを行います。また、進行役はゲーム中に発生する質問や不明点に対応し、スムーズなゲーム運営をサポートします。ゲーム後には、進行役が各チームのパフォーマンスを評価し、学びのポイントを整理することで、参加者が報連相の実践方法をより深く理解できるようにします。

まとめ
組合活動を“義務”ではなく、“価値ある場”へと変えるには、「体験による学び」と「信頼関係を育てる対話」が不可欠です。 ビジネスゲームは、「教育」「交流」「育成」「改善」など、あらゆる活動にフィットする万能なツールです。これまで敷居の高かった研修や参加率が低迷していたイベントにも、新しい風を吹き込むことができるでしょう。 変化の時代だからこそ、組合活動のアップデートが必要です。 その第一歩として、“ゲームという名の学び”を取り入れてみてはいかがでしょうか。
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ビジネスゲーム研究所 米澤徳晃
研修会社に入社後、研修営業、研修講師業に従事。その後、社会保険労務士法人で人事評価制度の構築やキャリアコンサルティング活動に従事。その後、独立。講師登壇は年間100登壇を超え、講師としてのモットーは、「仕事に情熱を持って、楽しめる人たちを増やし続けたい」という想いで、企業研修を行っている。