怒りの感情の向き合い方 アンガーマネジメントのテクニックのご紹介②
~思考のコントロール〜

怒りの感情の向き合い方 アンガーマネジメントのテクニックのご紹介② <br>~思考のコントロール〜

怒りの感情の向き合い方 アンガーマネジメントのテクニックのご紹介②
~思考のコントロール〜

今回は、アンガーマネジメントの2つ目のテクニックである「思考のコントロール」についてご紹介していきたいと思います。

改めて、アンガーマネジメントの基本的な考え方と基本の3ステップをお伝えします。

アンガーマネジメントとは


アンガーマネジメントとは、怒りの感情をコントロールする方法ですが、決して怒らなくなることを目指しているわけではなく、

怒る必要のあることは上手に怒れ、怒る必要のないことは怒らないようになること

としています。

怒るべきことか?、怒らなくてもいいことか?を判断していくようなイメージです。

また、アンガーマネジメントの基本的な3ステップは、下記となります。

①「衝動」のコントロール
②「思考」のコントロール
③「行動」のコントロール

の3つです。

以前のコラムで、①の衝動のコントロールについて解説してまいりました。
前回のコラム
怒りの感情の向き合い方 アンガーマネジメントのテクニックのご紹介① ~衝動のコントロール~


少し簡単に振り返ると、「衝動」のコントロールは、「怒り」を感じた瞬間に、反射的にそれを爆発させるのではなく、じっと待つというものです。なぜ待つかというと「怒り」を感じて物事の判別がつかなくなっても、時間が5〜6秒ほど経過すると、理性が働いて客観的な判別ができるようになると言われているからです。これは、「6秒ルール」と呼ばれています。
※時間が経っても、「怒り」という感情がなくなるわけではなく、理性が働くことで冷静になれるのです。

衝動をうまくコントロールして、その場はやり過ごせたとしても、「怒り」の感情がゼロになることはありませんので、次のステップとして、「思考」のコントロールが存在するのです。

2つ目のステップである「思考」のコントロールとは、イライラを感じた言葉や行動が、自分自身にとって、許せることか、許せないことなのかを客観的に判断することです。

イメージとしては、友人と待ち合わせをしていて、約束の時間に何分までの遅れなら許せるのか?を考えていただくとわかりやすいかもしれません。

仮にお昼ご飯を一緒に食べようと約束していて、
11時に駅前に集合ね、と決めていたとしましょう。

みなさんは、何時何分に集合場所に来るべきだとお考えでしょうか?


10時30分
10時50分
10時55分
10時59分
11時
11時3分
11時5分
11時10分
11時15分
11時30分
12時

だいたいの人が「時間は守るべき」というコアビリーフ(価値観や信念)をお持ちだと思うのですが、意外に人によってバラバラなのです。

11時ジャストであれば良いという人もいれば、
5分ぐらいの遅れは許せるという人もいますし、
5分前集合でないとダメでしょ!という人もいるのです。

思考のコントロールでは、三重丸を意識しましょうとされています。

三重丸のイメージ図

アンガーマネジメント

許せるゾーン


許せるゾーンは自分自身と同じ価値観で、違和感を感じない範囲です。

まぁ許せるゾーン


まぁ許せるゾーンは2番目の範囲です。自分とまったく同じ価値観ではないものの、まぁ許せるかなという範囲です。

許せないゾーン


許せないゾーンは、自分の価値観とは異なるもので、受け入れ難く、許すことができない範囲です。

先程の待ち合わせの時間の例でいうと、何分遅れたら、怒りやイライラを感じるのか?または、何分までの遅れなら許せるのかという自分の許容範囲を、「許せる」「まぁ許せる」「許せない」の3段階に分けて考えてみるということです。

何かしらの出来事に対して、何にも感じないのであれば、許せるゾーンに入っているのでしょう。
問題は、起こった出来事がまぁ許せるゾーンなのか、許せないゾーンなのかです。

アンガーマネジメントでは、怒る必要のあることは上手に怒れ、怒る必要のないことは怒らない。そうすることで、後悔しないことを目指しています。

まぁ許せるゾーンに入っているのであれば、怒る必要がなく、許せないゾーンに入ったのであれば、怒る必要のあることなので、相手に対して、何かしらの働きかけが必要になってくるのです。

思考のコントロールで意識してみてほしいことは、2つです。

(1)まぁ許せるゾーンを拡げる


心の許容量を増やす、つまり、まぁ許せるの範囲を拡げることを意識してみてください。

プライベートでも、仕事でも、すべての出来事が自分の思っていた通りになる、ということはないと思います。 100点でなくてもいいから、まぁそれくらいならいいかと思えることが多くなれば、ムダにイライラすることはなくなります。

(2)拡げたら、まぁ許せるゾーンを一定にする


まぁ許せるゾーンを永遠に拡げることには無理がありますし、無理に許しても、精神的によくはありません。 そのため、まぁ許せるゾーンをある程度拡げたら、一定にすることが大切です。

アンガーマネジメントは、怒らないことではないので、何でも許せばいいということではなく、怒る必要のあることは怒った方が良いのです。時間を守るべきの例であれば、11時5分までに来たら、「まぁ許せるゾーン」に入れるということであれば、どんなに機嫌が悪くても、11時5分までに来たら、怒らない、ということを徹底していくことです。逆に11時5分を1分でも遅れたら、どんなに機嫌がよくても、遅刻を指摘するようにし、一定にするということが大切です。

まぁ許せるゾーンと許せないゾーンの基準を明確にしていくことで、「心の許容量」は大きくなり、ムダにイライラすることを感じにくくなっていくでしょう。


今回は、アンガーマネジメントの思考のコントロールについてご紹介してまいりました。

もしイライラしたり、怒りの感情を感じたら、まずは、衝動のコントロールで、理性になるまで待ちましょう。 その後、思考のコントロールで、まぁ許せるゾーンに入れば、怒らず、もし仮に許せないゾーン入ったのであれば、相手に何かしらの働きかけをする必要があります。三重丸を意識してみましょう。

思考のコントロールの次は、「行動」のコントロールが必要になってきますが、
それについては、次回以降のコラムでご紹介していきたいと思います。


【執筆者情報】

ビジネスゲーム研究所 米澤徳晃

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会 アンガーマネジメントファシリテーター、アンガーマネジメントコンサルタント
研修会社に入社後、研修営業、研修講師業に従事。その後、社会保険労務士法人で人事評価制度の構築やキャリアコンサルティング活動に従事。その後、独立。講師登壇は年間50登壇を超え、講師としてのモットーは、「仕事に情熱を持って、楽しめる人たちを増やし続けたい」という想いで、企業研修を行っている。


アンガーマネジメントに関する研修の詳細は下記のページよりご覧ください↓↓


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