行動を促す源泉!?バンデューラの自己効力感とは

行動を促す源泉!?バンデューラの自己効力感とは

行動を促す源泉!?バンデューラの自己効力感とは

みなさんも初めてチャレンジするときやうまくいったことがないことにチャレンジするときに、
こういう風に思ったことはありませんか?


・自分では、できないかも
・自分には、無理かも
・うまくやれたことないし

自己肯定感や自己効力感が低い人は、こういったマイナス思考が強くなってしまい、
行動に起こせない。ということも珍しくありません。

行動を起こすためには、自己効力感を高めていくことが大切です。

「自己効力感」とは、もともとはカナダの心理学者、アルバート・バンデューラによって提唱された概念です。

自分がある状況において必要な行動をうまく遂行できるか、
という可能性の認知と定義されています。 

例えば、いきなり、英単語を100個、覚えるのは誰にも至難の業ではないでしょうか。
しかしこれを1日3個ずつ30日に分けて覚えるとなればなんとなく出来るような気がします。

このように、自分にもできるだろうと確信する感覚を自己効力感と、バンデューラは呼びました。

そして、バンデューラは、
自分はここまでだったらできそうだと言う感覚が、「次の行動を引き起こすための源泉になる」と言っています。

自己効力感を高める4つの源泉

自己効力感を高めるためには4つの源泉があります。


①達成体験

1番目は、達成体験で、自分で行動して達成できたと言う体験のことです。

自己効力感を高めていく上では、もっとも大切な要因がこの「達成経験」と言われています。 今までできなかった行動や達成できなかった目標ができるようになれば、自分の能力を認知することができます。

自分の能力やスキルが低いと思い込んでいる人も、過去を振り返ることによって、達成経験として思い当たることが多少出てきます。まずは自分の過去の人生を振り返り、どのような行動がどのような結果(成功)につながったかを自己分析することが大切です。そうすることで、少しずつ自分のできることややれてきたことが認知でき、達成経験に変わっていくはずです。


②代理経験

2番目は代理経験です。
これは、他人の成功や達成体験を観察し、自分にもできそうだと感じることです。

代理経験には、他者に対しての類似性と優位性が存在すると言われています。類似性とは、「能力やスキルが近いあの人がうまくやれたんだ。それなら自分もできる」という思考です。そして、「あの人が結果出せたんだから、あの人よりも自分ならもっと結果を残せるだろう」と考えるのが優位性による代理体験と言われています。


③言語的説得

3番目は言語的説得です。周囲から自分には能力があると励まされることも必要です。
「あなたならできる!」と周囲から繰り返し説得されることで、自分ならできるのかも、という気持ちになり、自己効力感が高まっていきます。

ただし、言語的説得とは他者の意見に左右される点が注意すべき点です。新人の頃はよく、褒められ、できるかも!頑張ろうと思え、自己効力感が高まりやすいです。ですが、新人ではなくなると、やれて当たり前、と、褒められることも減っていき、だんだん自信をなくしてしまう人も中にはいます。社会的説得だけを期待して自己効力感を育てようとすると、逆効果になるケースもありますので、


④生理的情緒的高揚

4番目は生理的情緒的高揚です。本人の気分や体調も自己効力感に影響します。

例えば、好きな映画を観た後、気持ちも上がり、今なら頑張ってやれそうな気がするといった感情が自己効力感に影響を与えるとされています。

また、苦手な場面や苦手なことを克服することで、自己効力感が強まっていきます。 例えば、大勢の人の前で、プレゼンを行うのが苦手だと感じていた人が、「人前で、落ち着いて、話ができた!」「途中で止まることなく、全部、話をすることができた!」などが挙げられます。苦手克服によって、高揚感を抱けている状態は、次の行動を自信を持って、物事に取り組みやすくなります。


部下・後輩の自己効力感を高めていくための対策

(達成体験)

新人は特にですが、初めて行う仕事が多くなります。いきなり、難しいことをさせても、うまくできずに、モチベーションが下がってしまう可能性もあります。営業初日にいきなり、何も教えずに、「一人でテレアポ掛けて、アポ取りしてみろ!」と言っても、困りますよね? 新人や若手には、特にベイビーステップを設けて、少しずつ、できている、やれているという達成感、成功体験を積ませることが大切です。

(代理経験)

厳密に代理経験にはならないかもしれませんが、上司・先輩がロールプレイングを通して、営業なら営業の商談の進め方を教えていくというのも代理経験になりますし、上司、先輩自身の新人の頃、若手の頃の話を共有し、どう改善してきたのかを話して上げることも有効です。その時に大事なのは、自慢話っぽくなり過ぎず、その時の情景を思い浮かべやすいように、何が起こっていて、どういった状況だったのか、それをどうしなければいけなかったのか?、実際に心掛けたことはどういったことだったのか?などを事細かく伝えられるとベストです。

(言語的説得)

部下や後輩に「君ならできるよ!」とポジティブに伝えてあげることが大切です。その際に気を付けるべき点は、2つです。

(1)本当に「できる人」なんだと心から思えている状態を作ることです。
→みなさんも、そうだと思いますが、本心で言われていないことはすぐにバレます。

(2)できる理由・根拠をきちんと伝える
→「君ならできるよ」と言われたときに、人によっては、「なんでそんなことが言えるんですか?」と思う人も中にはいます。(私もそういうタイプです。基本的にネガティブですので・・・)
前述の(1)と同じですが、できると思っている理由や根拠を明確に伝えてあげることが有効です。

(生理的情緒的高揚)

苦手意識を克服できるように、そういった機会(場)の提供がオススメです。例えばですが、ロジカルシンキングが苦手な新人に対して、相手に読みやすいように、議事録作成をお願いし、それに対して、毎週の会議後に良くなってきている点と改善点のフィードバックを行ってみる。などです。 達成体験と近いですが、やってみて、うまくいくようになると、臆せずに挑戦できるようになります。 食わず嫌い(やらず嫌い)にさせてないためにも、苦手意識の克服の場を設けていくことも大切です。


さて、今回は、行動を起こすための自己効力感についてご紹介してきました。 自分から勝手にガンガン動いていける人間ばかりではないので、ベイビーステップを設けながら、従業員に対して、自己効力感を高めていけるように指導してあげてみてください。


【執筆者情報】

ビジネスゲーム研究所 米澤徳晃

研修会社に入社後、研修営業、研修講師業に従事。その後、社会保険労務士法人で人事評価制度の構築やキャリアコンサルティング活動に従事。その後、独立。講師登壇は年間50登壇を超え、講師としてのモットーは、「仕事に情熱を持って、楽しめる人たちを増やし続けたい」という想いで、企業研修を行っている。

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