職場での多様性が重視される時代、同僚の性格や働き方を深く理解することがますます重要になっています。個性や性格に合わせたコミュニケーションをとることで、チーム全体のパフォーマンスを向上させ、働きやすい職場環境を作ることが可能です。
そのための有効な手法の一つが「DISCモデル」です。DISCモデルは、ビジネスや教育現場で自己理解と他者理解を深めるツールとして世界中で活用されています。このコラムでは、DISCモデルを職場で活用し、チームの生産性やコミュニケーション能力を向上させる方法について解説します。DISCモデルの概要
DISCモデルは、人の行動パターンを「D(主導型)」「I(感化型)」「S(安定型)」「C(慎重型)」の4つに分類します。することで、自己認識が深まり、他者と効果的に関わるためのヒントを得ることができます。
各タイプの詳細と特徴
DISCモデルは、心理学者ウィリアム・マーストンによって提唱された理論に基づき、人の行動特性を4つのタイプに分類しています。各タイプの特徴を把握することで、自分の強みや改善点を明確にし、他人と効率的にコミュニケーションを取るためのヒントが得られます。 D(主導型 – Dominance)
目標指向であり、リーダーシップを発揮することが得意です。意思決定が速く、競争に積極的に参加します。例として、プロジェクトチームにおけるリーダーとして活躍する場面が挙げられますが、時には決断の速さが周囲のペースと合わず、意見が対立することもあるでしょう。 I(感化型 – Influence)
社交的で、周りの人と積極的に関わりを持つのが得意です。人と人をつなぐ役割を担い、他者にインスピレーションを与える力があります。例として、マーケティングや広報担当として、チームを明るく保ち、積極的にアイデアを出す役割が挙げられます。 S(安定型 – Steadiness)
安定を好み、サポート的な役割に長けています。忍耐力があり、周囲の人の意見を尊重しながら行動する傾向があります。チームのバックオフィスや管理業務でその力を発揮し、チーム全体を支える柱となることが多いでしょう。 C(慎重型 – Conscientiousness)
論理的で、データや事実に基づいた行動を重視します。分析力や計画力が高く、細部にこだわる傾向が強いです。会計や分析、品質管理など、正確さが求められる仕事に適しています。
2. 職場での応用方法
DISCモデルを理解し活用することで、職場のコミュニケーションとチームワークが大きく改善します。以下に具体的な活用方法を紹介します。
•自己理解の深化
たとえば、Dタイプの人が自己理解を深めると、自分の主導的なスタイルがチーム全体にどのように影響を与えているかに気づき、必要に応じて柔軟性を持つことができるようになります。また、Cタイプの人が細部にこだわりすぎるあまり、全体の進行に遅れが生じていることに気づくことで、適切なバランスを取れるようになります。
SタイプのメンバーがDタイプのリーダーと仕事をする場合、積極的に自分の意見を述べることが求められます。反対に、DタイプのリーダーはSタイプのメンバーの意見を尊重する姿勢を取ることで、円滑なコミュニケーションが可能です。 •チームワークの強化
チームに複数のDISCタイプがいる場合、それぞれの特性を活かすことで効率的な役割分担ができます。たとえば、Iタイプのメンバーが顧客対応を担当し、Cタイプのメンバーがデータ分析を担当することで、顧客満足度と業務の正確さが両立されるでしょう。
3. 各タイプごとの効果的なアプローチ
ここでは、各タイプに対してどのように接すると良いかを具体的に見ていきます。 Dタイプとの接し方
Dタイプは速いテンポで行動を好むため、意見や指示は端的に伝えます。例えば、プロジェクトのミーティングでは、詳細な説明よりも最終目標や要点を先に示すと、Dタイプはすぐに行動に移しやすくなります。また、競争意識を高める仕組みを取り入れることで、Dタイプのモチベーションが上がる傾向があります。 Iタイプとの接し方
Iタイプは人との関わりを重視するため、コミュニケーションの中で感謝や称賛を伝えると良いです。たとえば、Iタイプのメンバーがアイデアを出した際に「それは素晴らしい発想だね!」と称賛することで、さらに意欲が増し、活発な意見交換が促されます。 Sタイプとの接し方
Sタイプは安定を好むため、急な変更には慎重です。新しいプロジェクトやシステムの導入時には、Sタイプに対して事前に十分な情報と準備期間を設けることで、不安を和らげ、適応しやすくなります。 Cタイプとの接し方
Cタイプはデータや事実を重視するため、具体的な情報を提供することが効果的です。例えば、Cタイプのメンバーに新しいプランを提案する際には、過去のデータや予測値など具体的な数値を添えることで、信頼性が高まり、理解が深まります。
4. DISCモデルを使ったコミュニケーションの効果
DISCモデルを用いたコミュニケーションは、個人の性格や行動特性に基づいたアプローチを可能にするため、職場やチーム内の関係を劇的に改善する効果があります。理由を詳しく解説します。 1.コミュニケーションの明確化
DISC理論を活用することで、メッセージの伝え方が明確になります。 具体例:
Dタイプの有利に対して、長い背景を説明するよりも、重要な点を思い切って伝える方が効果的です。例えば、プロジェクト提案の際に「この計画を進めれば、予定が2」一方、 Sタイプの部下には「この変更で業務遂行変わるか」を丁寧に説明し、安心感を考慮して、スムーズに受け入れて頂けます。 2.相手に合わせた動機づけ
人はそれぞれ異なるモチベーションの源を持っています。DISC理論を活用すると、相手の性格タイプに基づいて、どのように動機づけるかが明確になります。
Dタイプ: 結果や競争心を重視します。目標達成のインセンティブや挑戦的な課題がそのままやる気にさせます。
例: 「この目標を達成できれば、次のプロジェクトでさらに大きな役割を担うチャンスがあります」と伝える。
Iタイプ: 楽しい人とのつながりが動機になります。感謝や称賛がやる気を出します。
例: 「あなたの明るい提案が会議の雰囲気を良くしました。次回もぜひアイデアを出してください!」
Sタイプ:安定性や調和を重視します。サポートや信頼関係を示すことで動機づけられます。
例: 「新しいシステムの導入はあなたの経験を生かす良い機会です。安心してお待ちください。」
Cタイプ: 論理性やデータ重視が重要です。正確な情報や事実に基づいた説明が有効です。
例: 「この方法が効率的である理由は、これまでのデータ分析で明らかになっています。」
3.ストレスの軽減
DISC理論を使うと、相手の特性を理解した上でコミュニケーションをとるため、職場でのストレスが軽減されます。これにより、相手が感じる圧迫感や不安が軽減され、良好な関係がうまくいくようになります。
Cタイプの社員が、Dタイプのリーダーから「とにかく早くやれ」と言われるとプレッシャーを感じます。しかし、Dタイプのリーダーが「重要な部分だけでいいから進捗を教えてほしい」と伝えると、Cタイプは焦ることなく仕事を進めることができます。 4.チームワークの向上
チーム全体でDISC理論を導入すると、メンバー間の相互理解があり、強みを活かした役割分担が可能になります。その結果、チーム全体のパフォーマンスが向上します。 具体例:
新製品の開発チームでは、Dタイプのメンバーがプロジェクトのリーダーを担当し、Iタイプがアイデアの発案やプレゼンを担います。Sタイプがスケジュール管理を行い、Cタイプが品質チェックを担当した結果、全員が得意分野で力を発揮し、プロジェクトが予定より早く完了しました。 5.信頼関係の構築
相手の性格特性に合わせたコミュニケーションは、相手に「理解されている」という安心感を与え、信頼関係を強化します。 例:
Sタイプの部下が新しい業務に不安を感じている場合、「大丈夫、しっかりサポートするから一緒に頑張ろう」と伝えて、安心して業務に取り組むことができます。対しては、救済な報告ではなく「結論」と「具体的な次のステップ」を示唆することで信頼を得やすくなります。 6.問題解決の促進
DISC理論を基にしたコミュニケーションは、対立や対立を早期に解消するとしても手段として役に立ちます。解決策を見つけることができます。 例:
会議中にDタイプのメンバーが「この案で進めるべきだ」と主張し、Cタイプのメンバーが「リスクが高すぎる」と反対した場合、リーダーがお互いの特性を理解していると、 「具体的なリスクをリストアップし、それを解決する方法を考えて進めていく」という妥協案を提案できます。 7. DISC理論の活用による職場全体への影響
DISC理論を職場全体で活用することで、以下のような成果が期待できます。 生産性の向上: 相互理解が近づくことで、業務が支払いに進みます。
離職率の低下:信頼関係が強化され、職場の満足度が向上。
イノベーションの推進:各タイプの特性を考慮した多様なアイデアが生まれます。
まとめ
DISCモデルを活用することで、職場での人間関係や業務効率の向上が期待できます。まずは自己診断を行い、自分の特性を把握することから始めましょう。さらに、周囲の同僚やチームメンバーにも興味を持ち、各タイプに合わせたコミュニケーションを意識することが重要です。
たとえば、チームミーティングの前にメンバーの特性を把握しておくと、それぞれの強みを活かした役割分担がしやすくなります。これにより、チーム全体のパフォーマンスが高まり、結果的に仕事がスムーズに進むことでしょう。 ぜひ、職場でのコミュニケーション改善の心がけとして、DISCモデルを取り入れてみてください。
ビジネスゲーム研究所 米澤徳晃
研修会社に入社後、研修営業、研修講師業に従事。その後、社会保険労務士法人で人事評価制度の構築やキャリアコンサルティング活動に従事。その後、独立。講師登壇は年間100登壇を超え、講師としてのモットーは、「仕事に情熱を持って、楽しめる人たちを増やし続けたい」という想いで、企業研修を行っている。