会議やミーティングを進行する機会がある方からすると話し合いがうまく進まず、苦労された経験が一度や二度あるのではないでしょうか?
私自身、社内でも社外でも会議やミーティングの司会進行することがありましたが、うまくいかないときに学んだのがファシリテーションというスキルです。
ファシリテーションは会議やミーティングだけでなく、商談や打ち合わせ、1on1面談といった場面でも活用できると言われています。
今回はそのファシリテーションスキルをご紹介していきたいと思います。
そもそもファシリテーションスキルとは?
ファシリテーションスキルとは、会議などの話し合いの場で円滑に進行問題解解決に向けた議論を円滑に進めるためのビジネススキルです。参加者の意見を引き出し、議論を活発化させ、最終的に参加者からの合意形成を図っていきます。 よくファシリテーターと言ったりしますが、ファシリテーションスキルを発揮し、会議を進行する役割を担う人をファシリテーターと言います。
ファシリテーションの目的
ファシリテーションの目的は、参加メンバーの納得感を生み出すことです。 会議やミーティングでは、参加者一人ひとりが会議の目的・議題を深く理解しながら、当事者意識を持ち、納得している状態でなければ、目標達成に向けた行動計画などを自ら考えたり、率先して行動したり、そういった自発的な行動も生まれません。トップダウンで、一方的に指示、命令をしたり、説明したりするだけでは、人はなかなか主体的には動いてはくれないものです。 そういった意味で、ファシリテーションは、納得感を持たせ、会議やミーティング終了後に各自が何をすれば良いかわかっている状態で行動にすぐに移せれるようにすることが目的だと言えるでしょう。
ファシリテーションはどういった効果があるのか?
業務効率や時間当たりの生産性の向上が仕事においては求められます。 ファシリテーションの効果は多岐にわたります。5つの効果をご紹介します。
①ミーティング参加者の満足度の向上
ファシリテーションにより、参加者は自身の意見やアイデアを発言しやすくなります。それにより、参加者の満足度が向上し、自身の意見が尊重されると感じることができます。
②高品質な意思決定と問題解決
ファシリテーションによって、参加者は異なる視点や情報を共有し、グループ全体の意思決定や問題解決に対する理解が深まります。これにより、より妥当な意思決定がなされ、効果的な問題解決が実現されます。
③メンバーの共感と信頼関係の構築
ファシリテーションは、参加者間のコミュニケーションを促進し、共感や理解を醸成します。参加者はお互いの意見や経験に対して共感し、信頼関係を築くことができます。これにより、協働やチームワークの質が向上します。
④効率的なミーティングや活動の進行
ファシリテーションにより、ミーティングや活動の進行が効率的になります。適切なアジェンダの作成や時間管理、参加者の関与促進などが行われるため、時間の無駄が減り、目標に向けた進行がスムーズに行われます。
⑤参加者のスキルや能力の向上
ファシリテーションは、参加者のスキルや能力の発展にも寄与します。参加者はファシリテーションのプロセスを通じてコミュニケーションスキルや問題解決スキルを向上させるだけでなく、リーダーシップや協働能力を発展させる機会を得ることができます。
これらの効果により、ファシリテーションはグループやチームのパフォーマンスを向上させ、持続可能な成果を生み出す効果が期待されます。
→コラム:ファシリテーション研修に役立つビジネスゲーム3選
http://business-games.jp/facilitationgame_3selections/
ファシリテーションの注意点
ファシリテーションにはいくつかの注意点が存在します。
①時間とリソースの制約がある
ファシリテーションには時間とリソースが必要です。適切な準備やファシリテーションの実施には時間がかかるため、スケジュールの制約や予算の制約がある場合には、十分な時間やリソースを確保することが難しい場合があります。
②集団ダイナミクスへの対応の難しさ
グループやチームのダイナミクスは複雑であり、異なる意見やパーソナリティが存在します。ファシリテーターは、異なる意見や対立が生じた場合に適切に対応しなければなりません。一部の参加者が支配的になる、意見の不一致が生じる、コンフリクトが発生するなどの課題に対処する必要があります。
③ファシリテーターのバイアスに影響を受ける可能性がある
ファシリテーター自身にもバイアスや影響が存在することがあります。意図せずに自身の意見や立場を押し付けたり、グループの議論や意思決定に影響を与えたりすることがあります。ファシリテーターは客観性と中立性を保つために努力しなければなりません。
こういった注意点を対応できるようにファシリテーターは継続的な学習と成長を追求し、自身のスキルを向上させる必要があります。また、ファシリテーションのプロセスを適切に評価し、改善点を特定して次回の活動に活かすことも重要です。
→コラム:ファシリテーション研修に役立つビジネスゲーム3選
http://business-games.jp/facilitationgame_3selections/
ファシリテーションの3ステップのご紹介
ファシリテーターは会議やミーティングの場において、多様な役割を担って、最大の成果を導き出すことをミッションとしています。
会議中のファシリテーターの役割は3つあります。
②活性化
③合意形成
それぞれのステップについて、簡単にご説明します。
①意識醸成
意識醸成というのは会議やミーティングを実施する目的を参加者が理解し、参加者の参加意識を高めるということです。
②活性化
活性化というのはアイデアや意見を引き出し、最善策を導き出すための話し合いを行うことです。 活性化のためには2つの過程があります。
(1)発散過程
必要な情報を手分けして調べたり、さまざまな視点から自由に意見や出し合っていき、
そういった多面的な視点や自由な発想に基づく発散過程です。
議論を発散させる基本テクニックには4つあります。
・ブレーンストーミング
・アクティブリスニング
・イシュー(論点)外し対策
・アクティブヒアリング
(2)収束過程
情報やアイデアを取捨選択したり、組み合わせたりして、最適な1つの答えにまとめあげていく。
さまざまな情報や意見を束ねる収束過程です。
ファシリテーターは「結論が正しいか?」ではなく、「正しい議論をしているか?」をマネジメントしなければなりません。
③合意形成
合意形成というのは出てきたアイデアや意見に対して、皆が納得し、やろう!と意思決定をすることです。
アイデアをまとめ、結論に達する前に参加者への「Yes」をもらうことが大切。 会議は話し合いの場であり、意志決定の場であるが、実際に出た案を行動していくのは会議室ではありません。現場、現場で行っていかなければいけません。 出てきた結論を皆に説得するのではなく、納得してもらうことが現場に落とし込むコツなのです。
この3つを会議中に繰り返し、会議の目的を達成させるための道筋をサポートすることが役割なのです。
今回はファシリテーションスキルについてご紹介いたしました。 ファシリテーションを行うときは、スキルだけでなく、「中立的な立場」を意識することも大切です。 国際的なサッカーの試合の場合、審判は第三国の人が行います。激しいボディチェックしても乱闘が起こらないのはどちらのチームとも一線を画す第三者の審判がいるからです。
もちろん、社内の会議やミーティングで中立的な立場になるのは難しいですが、役割として中立的な立場で会議を進めていく意思を伝えることが大切ですし、 審判とは違い、チームやメンバーの力を引き出せるような支援者としての役割が求められるのです。
ファシリテーションスキルを意識することで会議やミーティングの議論も活性化し、問題解決や目標達成に向けた話し合いの質が高まっていくはずです。 ぜひファシリテーションの3ステップを意識してみてください。
ビジネスゲーム研究所 米澤徳晃
研修会社に入社後、研修営業、研修講師業に従事。その後、社会保険労務士法人で人事評価制度の構築やキャリアコンサルティング活動に従事。その後、独立。講師登壇は年間50登壇を超え、講師としてのモットーは、「仕事に情熱を持って、楽しめる人たちを増やし続けたい」という想いで、企業研修を行っている。