報連相パズルを導入するときのポイントと効果的な活用法についてご紹介!

報連相パズルを導入するときのポイントと効果的な活用法についてご紹介!

報連相パズルを導入するときのポイントと効果的な活用法についてご紹介!

職場での「報告・連絡・相談(報連相)」は、円滑なコミュニケーションや業務の効率化に欠かせない基本スキルです。しかし、特に新入社員や若手社員にとっては、タイミングや方法に戸惑いを感じることが多く、十分に実践できないケースも少なくありません。また、中堅社員や管理職であっても、報連相のスキル不足が業務トラブルやチームのパフォーマンス低下を引き起こす要因となることがあります。

こうした課題を解決するために注目されているのが「報連相パズル」です。ゲーム形式で報連相の重要性を体験的に学べるこのツールは、楽しみながらスキルを習得できる点で、従来の座学型研修と大きく異なります。本記事では、「報連相パズル」の導入時に押さえておきたいポイントや、具体的な活用事例について詳しく解説します。

ゲーム概要紹介:報連相パズルとは


報連相パズルは、報連相のスキルを実践的かつ楽しく学ぶことができるビジネスゲームです。特に新入社員研修やチームビルディングの一環として活用されることが多く、参加者が実際のビジネスシナリオを模した課題に取り組むことで、自然と報連相の重要性を理解し、スキルを身に付けることができます。このゲームの設定では、各自与えられた役割を担い、指令書に沿ってミッションをクリアすることが求められます。

「報連相パズル」は、報告・連絡・相談(報連相)の基本スキルをゲーム形式で楽しく学べるビジネスツールです。このゲームでは、参加者がチームで課題を解決していく中で、情報共有や相談の重要性を体験的に理解します。

たとえば、以下のような現場で起きがちな問題が報連相の不足によって引き起こされることがあります。

•情報の断絶
「誰がどの仕事を進めているのかわからない」という状況が、業務の重複や抜け漏れにつながる。

•ミスの発生
必要な報告や連絡がないため、現場での判断が誤り、顧客からのクレームや納期遅れに発展する。

•信頼の低下
報告を怠った結果、上司やチームメンバーの信頼を損ない、チーム全体の士気が低下する。

こうした課題を解決するために、「報連相パズル」を活用すれば、遊び感覚でスキルを磨くことが可能です。特に、若手社員や新入社員の基礎スキル育成に適しています。

報連相パズルのルール


●役割とカードの配布 各プレイヤーには5枚のカードと1枚の指令書が配布されます。指令書やカードは他の人に見せたり口頭で伝えたりしてはいけません。

●コミュニケーションの方法
チームメンバー間のコミュニケーションはメモのやり取りのみで行います。 メモの使用枚数は1チームあたり50枚までに制限されています。

●メモとカードの交換ルール
メモを渡す際には、fromとtoの欄に必ず名前を記載します(略称可)。 カード交換は、メモで連絡可能な相手としか行えません。同時に同じ枚数のカードを交換する必要があります。

●ゲームのクリア条件
ゲームのクリア条件はマネージャーの指令書にのみ記載されています。他のメンバーはこの情報を知らされていないため、コミュニケーションを駆使して条件を達成する必要があります。具体的には、各メンバーが指定された種類のカードを5枚集めることが求められます。

報連相パズルでは、各チームが自分たちの役割を演じながら、限られた時間内に課題を解決することを目指します。チームメンバーは、定期的に「報告」を行いながら、情報を共有し合い、「連絡」を徹底して全員が同じ状況を理解し、「相談」を通じて最善の解決策を見つけることが求められます。 この過程で、各チームは報連相の実践方法を学び、それぞれの役割や責任に応じた行動を取ることの重要性を体感します。

報連相パズルを導入する3つのメリット


(1) 楽しく学べる実践型の学習

報連相を学ぶ研修では、座学形式での講義や模擬演習が一般的ですが、これらは受動的な学習になりがちです。一方、「報連相パズル」は、参加者がゲームの中で課題を解決しながら自然に学ぶ仕組みを取り入れています。

学習のエンターテインメント性
ゲーム形式で学べるため、報連相を「義務的に学ぶ」感覚ではなく、「楽しみながら取り組む」経験へと変換します。このことで、報連相に対する抵抗感が軽減され、参加者が積極的に取り組みやすくなります。

体験型学習の効果
ゲーム中の体験を通じて学んだことは、理論的な講義よりも記憶に残りやすいとされています。たとえば、情報を共有する際の失敗や、相談を怠った場合の影響をリアルに体験することで、参加者が「次回はどうすればいいか」を自発的に考えるようになります。

リラックスした環境での学び
堅苦しい講義形式ではなく、リラックスした雰囲気の中で学ぶことができるため、参加者の心理的な抵抗が少なく、理解度が高まることが期待できます。

(2) チームワークの向上


報連相は個人のスキルとしてだけでなく、チーム全体の機能性にも影響を与えます。「報連相パズル」は、チーム全員が連携して目標を達成する必要があるため、以下のような効果をもたらします。

役割分担の重要性を体感
チームメンバーがそれぞれの役割を果たすことで、全体の進行がスムーズになる仕組みがゲームに組み込まれています。これにより、役割分担の重要性を体感できます。

情報の流れを視覚化
ゲームでは、情報を適切に共有しないと目標を達成できないような課題が用意されています。この仕組みにより、情報共有の流れを視覚的かつ感覚的に理解することができます。

全員が責任を持つ構造
一部の人だけが活躍するのではなく、全員が協力しなければ課題が解決しない構造になっています。そのため、全員が報連相の重要性を均等に学べる環境が整っています。

(3) 問題解決能力の向上


「報連相パズル」は、単に情報をやり取りするだけでなく、その情報を基にして適切な意思決定を行うプロセスを組み込んでいます。この中で、以下のような能力が磨かれます。

情報の優先順位付け
ゲームの中では、どの情報を優先的に共有し、どの段階で相談を行うかが鍵を握ります。このプロセスを通じて、参加者は情報の取捨選択の重要性を学びます。

タイムプレッシャー下での判断力
制限時間内で目標を達成する必要があるため、プレッシャーの中で冷静に情報を分析し、迅速に判断を下す練習になります。

課題の構造化
ゲーム中の課題を分析し、解決に向けたプロセスを明確にする能力が求められます。これにより、複雑な問題を整理し、チームで取り組む方法を身につけることができます。

「報連相パズル」を導入することで、楽しく学べる環境を提供しながら、チームワークの向上と問題解決能力の育成を同時に実現できます。この3つのメリットは、職場全体のコミュニケーション改善や効率的な業務運営に直結する重要な要素です。

報連相パズルを導入するときの成功への道

1. 導入目的を明確に設定する


ゲームを実施する前に、「なぜこのゲームを導入するのか」「どのようなスキルを強化したいのか」を明確にすることが重要です。目的が不明確だと、参加者がゲームを楽しむだけで終わり、学びの本質が薄れてしまう可能性があります。

具体的な目的の例
・新入社員には、報連相の基本スキルを身につけさせ、業務を円滑に進めるための基盤を作る。
・中堅社員には、部下への相談やアドバイスの適切なタイミングを学ばせる。
・管理職には、報連相の欠如が組織全体に及ぼす影響を理解させ、改善策を考えさせる。

目的設定のポイント
目標を明確にするため、SMARTフレームワーク(具体的・測定可能・達成可能・関連性・時間制約)を活用する。
ゲーム終了後に振り返る際、設定した目的が達成されたかを確認できる指標を用意する。

2. 適切なチーム編成を行う


「報連相パズル」はチームで進行するゲームのため、チーム編成がその効果を大きく左右します。職場の現状や参加者の属性を考慮し、最適なグループを作ることが重要です。

多様性を意識したチーム編成
異なる部署や役職のメンバーを混ぜることで、普段の業務では経験できない視点を共有する機会を作ります。たとえば、営業部、技術部、管理部の社員を同じチームにすることで、情報の共有方法や相談のタイミングに関する課題を見つけやすくなります。

経験値のバランス
経験豊富なメンバーと、比較的経験が浅いメンバーを混在させることで、チーム内で自然なリーダーシップやフォローアップの文化が形成されます。これにより、実際の業務での役割分担や支援のあり方も学べます。

人数の調整
チーム人数は3~5人が適切です。人数が多すぎると一部のメンバーが消極的になりやすく、少なすぎると多様な意見が出にくくなります。

3. ファシリテーターの準備を徹底する


「報連相パズル」の導入成功の鍵を握るのはファシリテーターです。ファシリテーターの進行やサポートが適切でないと、参加者の集中力や学びの質が低下する可能性があります。

ゲームのルール説明
開始前にルールや目的を明確に伝えることが重要です。難しい専門用語を避け、簡潔で分かりやすい説明を心がけます。また、参加者の理解度を確認するため、質問を促す時間を設けましょう。

ヒントやアドバイスの提供
ゲーム中、参加者が行き詰まった場合には、適切なタイミングでヒントを与えることが重要です。ただし、答えを教えるのではなく、考えるきっかけとなるアドバイスを心がけます。

タイムマネジメント
各セッションの進行をスムーズに行い、時間内にすべての課題を終えられるよう調整します。また、振り返りの時間を確保することも忘れないようにします。

観察と記録
ゲーム中の参加者の行動や発言を観察し、振り返り時にフィードバックとして活用します。たとえば、「報告が遅れたことでどのような影響が出たか」を具体的に示すと、学びが深まります。

4. 振り返りを充実させる


振り返りの時間は、「報連相パズル」の学びを定着させるための最も重要なプロセスです。ゲーム中の出来事を分析し、実際の業務にどう応用するかを考える場を設けましょう。

事実を共有する まず、各チームがゲーム中にどのような行動を取ったかを共有します。たとえば、「情報共有がうまくいったタイミング」と「うまくいかなかったタイミング」を明確にします。

原因を分析する
なぜその行動が成功または失敗につながったのかを全員で話し合います。

業務への応用を考える
ゲームでの学びを職場の実務にどう活かすかをディスカッションします。

効果的な質問例
振り返りを深めるために、以下のような質問を投げかけると効果的です。

「報告のタイミングが遅れた原因は何だったのか?」
「情報を共有しなかった場合、どのようなリスクが生じたか?」
「ゲーム中の行動を業務に活かすとしたら、どのような改善ができるか?」

フィードバックシートの活用
振り返りをより体系的に行うために、フィードバックシートを配布し、ゲーム中の気づきや改善案を記録してもらいます。

報連相研修①

5. 環境や雰囲気づくり


参加者がリラックスしてゲームに集中できる環境を作ることも成功の鍵です。

会場の設定
広すぎる会場はチーム間の一体感を損なう可能性があるため、適度なスペースを確保します。また、必要な道具(ホワイトボードやマーカーなど)を事前に準備しておきます。

心理的安全性の確保
初対面のメンバーが多い場合は、アイスブレイクを取り入れ、参加者同士がリラックスした状態でゲームに臨めるようにします。

評価ではなく学びを重視
ゲームの結果が良かったか悪かったかではなく、「何を学んだか」を重要視する雰囲気を作ります。

「報連相パズル」を成功裏に導入するためには、目的の明確化、適切なチーム編成、ファシリテーターのスキル、振り返りの充実、そして環境づくりが欠かせません。これらを丁寧に準備することで、参加者は単なるゲームの枠を超えた学びを得ることができ、職場全体のコミュニケーションや業務効率の向上につながります。

報連相パズルの活用事例


「報連相パズル」は、その柔軟な設計により、さまざまな場面で活用することができます。ここでは、具体的な活用事例とその効果を詳しく解説します。

(1) 新入社員研修


新入社員研修では、職場での報連相の基本スキルを習得させることが重要です。新しい環境で緊張している新入社員は、上司や同僚に対する報連相のタイミングや方法に戸惑いを感じることが多いため、「報連相パズル」を取り入れることで、基礎スキルを楽しみながら身につけることができます。

目的
報連相の基本的な流れを理解する。 上司や同僚への情報共有に対する心理的な抵抗感を減らす。

効果
ゲームを通じて「報告が遅れたことで起こるトラブル」や「適切な相談が与える影響」を実感することで、新入社員が実務でスムーズに報連相を実践できるようになります。また、同期メンバー同士でのコミュニケーションのきっかけにもなり、チームとしての一体感を育む効果も期待できます。

導入の工夫
ゲーム中に発生しそうな失敗例(報告の遅れ、情報共有不足など)をあらかじめ設定し、学びのポイントを強調します。新入社員がゲーム後に具体的な改善策を考えられるよう、振り返りの時間を十分に確保することが重要です。

(2) 中堅社員向けリーダー研修


中堅社員にとって、報連相は単なる個人スキルではなく、部下やチーム全体を巻き込むためのリーダーシップスキルとしての重要性を持ちます。「報連相パズル」は、リーダーシップを発揮するための実践的なトレーニングツールとしても活用されています。

目的
部下との適切なコミュニケーションを図るスキルを磨く。 チーム全体の情報共有の流れを構築する方法を学ぶ。

効果
中堅社員が「部下からの報告を待つだけでは不十分」という意識を持ち、自ら相談を促したり、連絡が滞らないよう環境を整えたりするリーダーとしての責任感を養うことができます。また、チーム全体の視点で情報を整理し、共有するプロセスを体験することで、俯瞰的な視野が広がります。

導入の工夫
ゲーム中、リーダー役を設定し、そのメンバーがチーム内で報連相のハブとして機能する仕組みを作ります。さらに、リーダーが情報共有を怠った場合に発生する課題を設けることで、リーダーとしての役割を強調します。

(3) 部署間コミュニケーション改善研修


多くの企業では、異なる部署間での連携不足が業務効率の低下やトラブルの原因となることがあります。「報連相パズル」を活用すれば、部署間のコミュニケーションを活性化し、相互理解を深めることが可能です。

目的
部署ごとに異なる情報や目標を持つ環境下での情報共有の重要性を体験的に学ぶ。
他部署の業務内容や視点を理解し、連携のスムーズさを高める。

効果
部署間のサイロ化(情報や業務が閉じた状態)を防ぎ、全体最適の視点を育むことができます。また、異なる職種のメンバーが協力しながら課題を解決する過程で、互いの強みや課題が明確になり、日常業務での協力が円滑になります。

導入の工夫
各部署が持つ情報を細かく分割し、チーム内で情報共有をしなければ課題を解決できないように設計します。たとえば、営業部門が持つ顧客情報と、製造部門が持つ生産スケジュールを統合しないと目標を達成できないような課題を設定します。

(4) 管理職向けリスク管理研修


管理職には、部下の報連相を適切に受け止める能力や、未然にリスクを察知して対応する能力が求められます。「報連相パズル」は、リスク管理の観点からも非常に有効なツールです。

目的
報連相を通じてリスクを早期発見する方法を学ぶ。部下が報連相をしやすい環境を作るスキルを身につける。

効果
管理職が報連相を「受ける側」としてのスキルを学ぶことで、部下との信頼関係が強化され、トラブルの未然防止につながります。また、部下の報告や相談内容を分析し、的確な判断を下すスキルが養われます。

導入の工夫
チームリーダー役を管理職が担い、部下役のメンバーが複数の課題を報告するシナリオを設定します。管理職が適切な対応を取らない場合に生じるリスクを可視化することで、報連相の重要性を再認識させます。

(5) 特定プロジェクトの準備研修


新しいプロジェクトを開始する際、チーム内の報連相スキルを事前に高めておくことで、プロジェクトの進行をスムーズにすることができます。「報連相パズル」をプロジェクト準備研修に活用するケースも増えています。

目的
プロジェクト内での情報共有と相談フローを明確にする。
チームメンバー同士の信頼関係を構築する。

効果
プロジェクトの初期段階で適切なコミュニケーションスキルを学ぶことで、トラブル発生時にも迅速に対処できるチームが形成されます。また、メンバーが報連相の重要性を実感しているため、積極的な情報共有が行われるようになります。

導入の工夫
プロジェクトを模した課題をゲーム内に設定し、実際のプロジェクトで起こり得る問題を疑似体験させます。この過程で、参加者が「どの情報を、どのタイミングで、誰に伝えるべきか」を具体的に考える訓練を行います。

「報連相パズル」は、新入社員から管理職、部署間の連携改善まで、幅広い層や状況で活用できるツールです。それぞれの目的に合わせたカスタマイズが可能であり、ゲームを通じて報連相の重要性を体感的に学ぶことで、職場全体のコミュニケーション向上に寄与します。どのような職場環境でも、報連相のスキルは必要不可欠なものであり、「報連相パズル」を通じてそのスキルを強化することで、組織全体の生産性向上に大きな効果を発揮するでしょう。


まとめ


「報連相パズル」は、単なるゲームではなく、職場でのコミュニケーション改善や業務効率化に直結する実践型の学習ツールです。新入社員の基本スキル育成から、中堅社員のリーダーシップ強化、さらには部署間の連携改善まで、幅広い場面で活用できます。導入にあたっては、目的を明確にし、適切なチーム編成やファシリテーターの準備、充実した振り返りの時間を設けることで、参加者の学びを最大化することが可能です。

報連相のスキルは、職場全体の信頼構築や生産性向上に不可欠なものです。この機会に「報連相パズル」を導入し、楽しみながら実務に直結するスキルを学ぶ場を提供してみてはいかがでしょうか。職場の新たな可能性を切り開く第一歩となるはずです。


【執筆者情報】

ビジネスゲーム研究所 米澤徳晃

研修会社に入社後、研修営業、研修講師業に従事。その後、社会保険労務士法人で人事評価制度の構築やキャリアコンサルティング活動に従事。その後、独立。講師登壇は年間100登壇を超え、講師としてのモットーは、「仕事に情熱を持って、楽しめる人たちを増やし続けたい」という想いで、企業研修を行っている。

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