1on1面談は本当に役に立つのか?1on1面談を意味があるものにするための10のポイント

1on1面談は本当に役に立つのか?1on1面談を意味があるものにするための10のポイント

1on1面談は本当に役に立つのか?1on1面談を意味があるものにするための10のポイント

1on1(ワンオンワン)面談とは、マネージャーやリーダーが部下と個別に、つまり1対1で行うミーティングのことを指します。評価や管理のための人事面談とは異なり、部下の成長をサポートするための時間が1on1です。1on1を通じて上司は、部下がどういうキャリアを考えているのか、どういう悩みを持っているのかということを把握し、部下のサポートを行います。

人事面談は評価者である上司から部下への一方的なコミュニケーションになりやすいですが、 1on1はインタラクティブ(双方向)なコミュニケーションが必要になります。

しかし、1on1面談が形骸化してしまっているケースもよく耳にします。 そこで今回は1on1面談を意味があるものにするためのポイントをご紹介していきます。

1on1面談の目的・意義


まずは1on1面談を行う目的や意義から見ていきましょう。 なぜ1on1面談を行うのでしょうか?1on1においては、上司は部下から日々の悩みや不安、業務に関する課題感などに耳を傾けて積極的に引き出すことが目的です。

フィードバックの共有


直接的なフィードバックを提供し、改善すべき点や強みについて話す時間です。部下の業績やパフォーマンスを検証したり、改善点を検討したり、素直に成功や失敗を認め合うことによってパフォーマンスの向上につながっていきます。

キャリア開発のサポート


長期的なキャリアの目標設定やスキルの向上について話す機会を設けることができます。

対人関係の構築


上司と部下との人間関係を深め、お互いの信頼を築くことにつながります

部下の意見や懸念のヒアリング


部下が持っている問題や懸念事項を共有し、対応するための時間です。

このように1on1の面談は、部下との良好な関係を維持し、職場の生産性を向上させるために重要なツールとなるのです。

しかし、1on1面談をやったところで意味がなく、役に立たなくなってしまうケースも多々存在します。

1on1面談が役に立たなくなってしまうケース

1on1面談を行っても役に立たなくなってしまうケースとしては下記のようなことが考えられます。

準備が不十分な場合


部下、上司、どちらとも、十分な準備をしてこなかった場合、面談は有意義なものになりません。 事前に具体的な議題を部下に考えてきてもらうのですが、部下が議題を考えてこないと話す内容があまりなくなり、沈黙の時間が続いてしまいます。また前回の1on1面談で出た内容について必要な情報を集め、改善策、解決策に向けたアドバイスを行えるかも重要です。

双方向なコミュニケーションが取れていない場合


1on1面談は双方向のコミュニケーションでなければなりません。 一方的な話し合いや、マネージャーが主導するだけの会話ではなく、従業員も自分の意見や懸念を自由に表現できるような環境を作ることが重要です。

フィードバックが提供されない場合


1on1面談は、部下の日々の行動についても適切なフィードバックを与え、成長のためのアドバイスをする機会でもあります。このフィードバックが提供されない場合、部下は自分のパフォーマンスを向上させる具体的な手段を理解できないかもしれません。フィードバックすべき点があればきちんとフィードバックを行いましょう。

実行に移されない場合


1on1面談で議論された問題や懸念点が、その後の行動に反映されない場合や上司側が対策を打たない場合は、部下の人たちは面談が役に立たないと感じてしまいます。面談で議論した内容は、具体的なアクションプランに繋げないといけません。

信頼関係がつくれない場合


面談が効果的であるためには、双方がお互いを尊重し、信頼関係がきちんと構築されている必要があります。この信頼関係が欠けている場合、面談は成果を上げることが難しくなります。 また面談で話された内容が第三者に漏れてしまったり、筒抜けになってしまったりすると部下は上司に対してオープンな情報共有ができなくなり、信頼関係を築くのは難しくなるでしょう。

こういった状況になってしまうと1on1面談を行っても意味がありません。有効な1on1面談を行うためには、面談の準備、オープンなコミュニケーション、フィードバックの提供、実行・アクションの振り返り、そして相互の信頼と尊重が必要となるのです。

1on1面談を行うにあたっての工夫するべき10個のポイント


1on1面談を効果的に行うための工夫は以下のようなものが考えられます。

①目的の明確化


1on1の面談を行う目的をまず明確にしましょう。「会社から指示されたことだから、とりあえずやろう!」だとやっつけ感が部下に伝わってしまい、部下も目的意識が持てないので、ただただお互いの時間を潰しているとしか考えられなくなってしまいます。なぜこの1on1面談をやることになったのか?、どういう目的があるのか?をきちんと明確化していけば、自ずと面談での答えが見つかってくるはずです。

②準備を徹底する


部下に話し合いたいテーマを考えてもらうことが大切ですが、回数を重ねると、だんだん難しくなってきます。部下が「もういいよ」、「考えるのが面倒だな」と思ってしまわないためにもアジェンダや質問のリストを事前に共有し、部下が準備できる時間を持てるようにしてあげましょう。

③リラックスした雰囲気作り


緊張を解すために、カジュアルな雰囲気を作ることが大切です。 例えば、カフェでの面談やウォーキングミーティングを取り入れる企業もあるようです。ただし、オープンな空間であればあるほど、他社の人に聞かれてしまう可能性もありますので、そういった点は要注意です。

④頻度と期間の設定


1on1面談をさすがに毎日やることはできませんし、逆に年1回、半年に1回のペースではPDCAを回すのも難しくなってしまいます。どれくらいの頻度で、どれくらいの時間を設定するのかを検討していく必要がありますが、例えば、月に1回1時間や2週に1回、30分ずつでという形で間隔があきすぎないように設定することをお勧めします。

⑤プライバシーの確保


面談の内容が外に漏れると信頼関係が築けないということを前述しましたが、やはり機密性の高い話題が取り上げられる可能性が高いので、プライバシーを確保できる場所で行うことが重要です。

⑥アクティブリスニング(聴く・訊く)の意識をしっかり持つ


人は聞いてもらっていないと感じると話す気持ちが失せてしまいます。相手の話を真摯に聞く態度を持ち、質問や感想を適切なタイミングで共有していきましょう。また訊くことで相手の話をさらに深堀りして聴くことができます。オープン質問やクローズド質問といった質問を交えながら積極的に訊いていきましょう。 ※オープン質問は「どう思いますか?」や「どのように感じましたか?」など、相手が自分の考えや感情を自由に話せる質問のことで、クローズド質問とは、「はい」「いいえ」で答えられるような質問のことです。

⑦フィードバックの方法


どのようにフィードバックを行うか、その方法やフレームワークを決定しておくと良いでしょう。 肯定的なフィードバックもあれば、ネガティブなことを伝えないといけないフィードバックもあると思いますが、そのバランスを取ることも

⑧1on1面談に向けたトレーニング


上司やリーダーが1on1面談のベストプラクティスを学ぶために研修やトレーニングを受講することを検討すると良いでしょう。

⑨期待値に対する社内調整


1on1の面談が全ての問題を解決するわけではないため、期待値を適切に設定し、その範囲内で最大の効果を目指すことが重要です。

⑩継続的なフォローアップを心掛ける


前回の面談での話題や取り決め事項について、次回の面談でフォローアップをしっかり行いましょう。前述したとおり、面談で話したことで行動を起こさせることが大切ですし、ボールが上司側にある場合はこちら側の行動が取れたかどうかを部下は見ています。やってくれないんだと思われないようにしていくことが大切です。

これらの工夫を取り入れることで、1on1面談はより生産的で有意義なものになるでしょう。


今回は1on1面談を意味あるものにしていく10のポイントをご紹介してきました。 1on1面談といったものも注目を集めてはいますが、まだまだ効果が見えづらく、1~2回やって終わってしまうと企業も多いようです。 しかし、そもそもの面談文化が根付いていない企業では1~2回やるだけでは効果が出てくるのは難しいです。 何度も繰り返しやっていき、改善サイクルを回しながら、1on1面談の工夫をしていきましょう。


【執筆者情報】

ビジネスゲーム研究所 米澤徳晃

研修会社に入社後、研修営業、研修講師業に従事。その後、社会保険労務士法人で人事評価制度の構築やキャリアコンサルティング活動に従事。その後、独立。講師登壇は年間100登壇を超え、講師としてのモットーは、「仕事に情熱を持って、楽しめる人たちを増やし続けたい」という想いで、企業研修を行っている。

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