目次
なぜ今「ビジネスモデルキャンバス研修」が注目されているのか
ビジネスモデルキャンバスの基本構造と9つの要素
“経営体験ワーク”としての設計方法
進行ステップとファシリテーションのコツ
研修成果を高める“振り返り”と実践へのつなげ方
なぜ今「ビジネスモデルキャンバス研修」が注目されているのか
ビジネスモデルキャンバスの基本構造と9つの要素
“経営体験ワーク”としての設計方法
進行ステップとファシリテーションのコツ
研修成果を高める“振り返り”と実践へのつなげ方
なぜ今「ビジネスモデルキャンバス研修」が注目されているのか
近年、多くの企業研修で「経営視点の理解」を目的としたプログラムが増えています。その背景には、企業を取り巻く環境変化のスピードが格段に上がり、現場の一人ひとりが経営的な判断力を持つ必要性が高まっていることが挙げられます。従来のように「上からの指示を忠実に実行する」だけでは、変化に対応できない時代に突入しているのです。 特に課題となっているのが、“部分最適”の思考にとどまってしまう社員の多さです。たとえば営業担当は売上を、製造部門は品質を、経理はコストを最優先に考えがちです。しかし、経営全体のバランスを俯瞰しなければ、どれだけ頑張っても会社全体の利益向上にはつながりません。この“全体最適”を意識させる手段として、ビジネスモデルキャンバスが注目されているのです。 ビジネスモデルキャンバスの最大の特徴は、企業活動をたった1枚で表現できる「見える化力」です。顧客・価値提案・チャネル・リソース・コストなど、9つの要素を整理することで、「なぜこの事業が成り立っているのか」「どこで利益が生まれているのか」を誰でも理解できるようになります。複雑な経営の仕組みを視覚的に学べるため、経営層だけでなく若手社員にも浸透しやすいのです。 また、研修でキャンバスを使うメリットは、単なるフレームワーク理解にとどまらない点にあります。チームで議論しながら仮想の事業モデルを設計していく過程では、「顧客は誰か?」「本当に価値を感じるのはどこか?」「収益はどう生まれるか?」といった問いを通じて、自然と経営的な思考プロセスを体験できます。つまり、キャンバス研修は“考える訓練”であり、経営体験そのものなのです。 さらに、近年はリーダーシップ研修や次世代幹部育成にも活用が広がっています。若手のうちから「経営の構造」を理解しておくことは、将来の意思決定力やリスク感度の向上につながります。実際、多くの企業が管理職昇格前研修や新規事業提案制度の導入時に、ビジネスモデルキャンバスを採用しています。 このように、ビジネスモデルキャンバス研修が注目されているのは、単なるツールとしてではなく、“経営を体験的に学ぶ仕組み”としての価値が高まっているからです。
ビジネスモデルキャンバスの基本構造と9つの要素
ビジネスモデルキャンバス(Business Model Canvas)は、オーストリアのアレックス・オスターワルダー氏が提唱したフレームワークで、企業活動を「価値創造」「価値提供」「価値獲得」という3つの観点から9つの要素に整理したものです。これを1枚のシートにまとめることで、どのようにビジネスが成り立っているのかを誰でも直感的に理解できるように設計されています。 研修に導入する際には、この“9つのブロック”を正確に理解することが出発点となります。
① 顧客セグメント(Customer Segments)
まず最も重要なのは「顧客は誰か?」を明確にすることです。企業の存在価値は、顧客が抱える課題や欲求を解決することにあります。ターゲットを曖昧にしたままでは、どんなに魅力的な商品やサービスも市場に響きません。研修では、「あなたの会社の顧客は誰?」「本当に価値を感じている層はどこか?」と問いを立てることで、参加者に“顧客視点”を意識させます。
② 提供価値(Value Propositions)
顧客にどんな価値を届けるのか――ここが事業の核となる部分です。「価格」「品質」「利便性」「ブランド」「体験価値」など、顧客が感じる魅力を整理します。研修では、チームごとに“顧客のペイン(痛み)をどう解消するか”を議論させると、マーケティング的な発想が育ちます。
③ チャネル(Channels)
次に、その価値をどのように顧客に届けるかを示すのがチャネルです。販売ルート、広告、営業、ECサイトなど、顧客接点のすべてが該当します。デジタル時代ではオンラインとオフラインの統合がポイントとなり、「どうすれば顧客体験を損なわずに届けられるか」という議論が研修を盛り上げます。④ 顧客との関係(Customer Relationships)
顧客との関係性をどう構築・維持するか。たとえば「サブスクリプション」「コミュニティ運営」「パーソナライズ対応」など、継続的な関係を築く仕組みを考えます。ここでは、単発の販売で終わらせない“リピーター戦略”を理解させることが大切です。⑤ 収益の流れ(Revenue Streams)
どこからお金が入ってくるのかを明確にします。商品の販売、月額課金、広告収入、ライセンス料など、複数の収益源を持つことが安定経営の鍵です。研修では、「一番の稼ぎ頭は何か?」「副収益を生み出せる仕組みはあるか?」といった視点を促すと、経営的な思考が磨かれます。⑥ 主要リソース(Key Resources)
価値を生み出すために必要な資源を特定します。人材、設備、技術、ブランド、知的財産などが該当します。たとえばIT企業ならエンジニアやシステム、飲食店なら店舗と人材が主要リソースになります。研修では、「もしこのリソースが使えなくなったら?」と仮定して考えさせることで、リスクマネジメント思考を養えます。⑦ 主要活動(Key Activities)
提供価値を実現するために企業が行う重要な活動です。製造、販売、設計、開発、顧客対応など、事業モデルによって異なります。研修では、各活動がどのブロックと関係しているのかを可視化し、「活動=コスト」という意識を持たせることがポイントです。⑧ 主要パートナー(Key Partnerships)
企業は単独では成立しません。取引先、仕入れ先、業務提携先、外注先など、事業を支えるパートナーを洗い出します。パートナー関係を描くことで、外部との協働やリスク分散の重要性を理解できます。研修では「協力関係が途絶えたら何が起きるか?」を考えさせるのも効果的です。⑨ コスト構造(Cost Structure)
最後に、事業を運営する上で発生するコストを整理します。固定費と変動費のバランスを把握し、どこに重点投資すべきかを考えます。研修では、リソースや活動の内容とコスト構造をリンクさせると、経営のリアリティを実感できます。これら9つのブロックは、それぞれが独立しているようでいて、実際には相互に密接に関係しています。たとえば「顧客セグメント」を変えれば「提供価値」や「チャネル」も変化し、結果として「収益構造」も変わります。したがって、研修では“個別要素を埋める”ことよりも、“要素間のつながり”を意識させることが学習効果を高める鍵です。 また、理解を深めるためには実在企業の例を扱うのが効果的です。 たとえばスターバックスを題材にすると •顧客セグメント:日常の中で特別な時間を求める都市生活者
•提供価値:くつろげる空間と高品質なコーヒー体験
•収益の流れ:高単価商品+リピート率の高さ といった要素を、直感的に整理できます。こうした身近な事例を使うことで、参加者は「自社だったらどうか?」と考えやすくなり、研修の実践性が高まります。 このように、ビジネスモデルキャンバスは単なる経営理論ではなく、社員が“経営の全体像”を俯瞰的に理解し、戦略的に思考するための強力なツールです。次章では、このキャンバスを使って実際に「経営体験ワーク」を設計・実施するための具体的な進め方を紹介します。
“経営体験ワーク”としての設計方法
ビジネスモデルキャンバスを使った研修を成功させるための鍵は、「単なるフレームワーク学習」に終わらせず、参加者が“経営者の視点”を体験する構成にすることです。ここで重要なのは、「講義型」ではなく「体験型」への設計転換。参加者が手と頭を動かし、自ら事業を構築するプロセスそのものが、経営を学ぶ実践の場となります。
ワークの目的設定:体験を通して“経営を理解する”
まず設計の第一歩は、目的を明確にすることです。研修のゴールは「キャンバスを書けるようになること」ではなく、「経営の仕組みを自らの言葉で説明できるようになること」。したがって、目的設定では次のような学習効果を狙うと良いでしょう。 •自社(または仮想企業)のビジネスモデルを俯瞰的に理解する•顧客視点と利益構造の両立を考える
•部門間連携の重要性を体感する
•経営的意思決定の難しさを実感する このように、研修のねらいを“行動変容”につながる表現で設計すると、後の振り返りまで一貫した学びが得られます。
ワークの構成:チームで仮想企業を経営する
次に、ワークの構成です。効果的なのはグループ形式で仮想企業を立ち上げるシナリオ。 4〜6名程度のチームに分かれ、与えられたテーマに沿ってビジネスモデルを構築していきます。 テーマ設定の一例として、以下のようなバリエーションが考えられます。•新規事業開発:「AIを活用した教育サービスを立ち上げよ」
•既存事業の再構築:「老舗メーカーがサブスク化に挑戦する」
•地域ビジネス:「地方の特産品を使った観光モデルを設計せよ」
•SDGs関連:「環境負荷を減らす新しい流通モデルを考案せよ」 こうしたシナリオを設定することで、参加者は「顧客」「価値」「コスト」を現実的に考えざるを得なくなり、まさに経営者の立場で意思決定を体験することになります。
ワークの進行:段階的に“経営判断”を促す
ワークは段階的に進行させるのが効果的です。以下は典型的な流れの一例です。 ①導入フェーズ(20分)ビジネスモデルキャンバスの目的と9要素を簡単に復習。講師から「なぜ経営者はこの視点を持つ必要があるのか」を提示します。
②チーム設定フェーズ(20分)
チームごとに業種・テーマを決定し、仮想企業の概要(社名・理念・主力商品など)を決めます。
③キャンバス構築フェーズ(60〜90分)
9ブロックに沿ってディスカッションを進め、付箋などを使って要素を埋めていきます。講師は「顧客→価値→収益」のつながりを意識させながら巡回サポート。
④発表・共有フェーズ(30分)
各チームが自社モデルを発表し、他チームや講師からのフィードバックを受けます。審査形式(顧客満足度・収益性・独自性など)にすると盛り上がりやすいです。
⑤振り返りフェーズ(20分)
「学んだこと」「現実にどう活かせるか」を記入し、チームで共有。講師が総括として“全体最適の思考”を再確認します。
成功のポイント:現実感と競争性を持たせる
研修を成功させるには、“リアリティ”と“ゲーム性”の両立が大切です。 リアリティとは、「実際の経営判断と同様のジレンマを体験させること」。たとえば「利益を上げたいが、顧客満足を下げたくない」「コストを削減すると品質が落ちる」といったトレードオフを意図的に組み込みましょう。これにより、参加者は“経営とは意思決定の連続である”ことを体感できます。 一方で、ゲーム性を取り入れると参加意欲が一気に高まります。各チームに限られた予算や時間を設定し、最終発表時に「どのチームのモデルが最も魅力的か」を投票形式で決めると盛り上がります。競争の中で論理的思考とチームワークが自然に鍛えられるのです。学びを深めるファシリテーションの工夫
講師やファシリテーターは、“答えを教える”役割ではなく、“問いを投げかける”役割を担います。 「その顧客は本当にお金を払ってくれるだろうか?」 「その活動を続けたとき、利益構造はどう変化するか?」 「他チームにない価値は何か?」 こうした質問を通して、参加者の思考を一段深めていきます。 また、チーム内で意見が割れる場面こそ最大の学びのチャンスです。「どの視点も一理ある」と認めつつ、最終的にどう意思決定するかを問うことで、リーダーシップや合意形成の訓練にもつながります。研修を締めくくる際は、学んだことを“自社に持ち帰る”仕組みを用意すると効果的です。 例えば、「翌週までに自社のビジネスモデルをキャンバスで再構築してみる」「自部署の提供価値を1枚で整理する」といった課題を設定することで、現場実践につながります。これにより、単なるワークで終わらず、経営感覚の定着へと発展します。
このように、ビジネスモデルキャンバスを使った経営体験ワークは、社員一人ひとりに「経営者の目線」を植え付ける強力な学習法です。次の章では研修をスムーズに進めるための具体的な進行ステップとファシリテーションのコツを紹介します。
進行ステップとファシリテーションのコツ
ビジネスモデルキャンバスを活用した経営体験ワークでは、参加者が主体的に考え、議論を深められるように進行をデザインすることが重要です。講師やファシリテーターの役割は“教えること”ではなく、“考えさせること”。ここでは、研修をスムーズかつ効果的に進めるための具体的ステップと、ファシリテーションのコツを紹介します。
ステップ1:導入 ― 「経営を体験する」目的を明確にする
最初に、ワークの目的を明示します。単にビジネスモデルキャンバスの書き方を学ぶのではなく、「自分たちの意思決定がどのように企業の成果を左右するのか」を体感してもらうことが目的であると伝えましょう。冒頭で実在企業(スターバックス、トヨタ、ユニクロなど)のキャンバス例を紹介すると、イメージが湧きやすくなります。ステップ2:グループ編成とテーマ提示
4〜6人程度でチームを編成し、共通のテーマや業種を提示します。テーマ設定は研修のゴールに合わせて調整が可能です。たとえば、若手社員向けなら「新しいコンビニ業態を設計する」、管理職向けなら「既存事業を再構築する」などが効果的です。配布するキャンバスシートは大きめのA1サイズにし、付箋を使って視覚的にまとめさせると議論が活発になります。ステップ3:キャンバス作成 ― “つながり”を意識させる
作業中は、「9つのブロックを埋めること」よりも、「要素間のつながりを理解すること」に重点を置きます。 講師は巡回しながら、 •「その顧客にとって本当の価値は何ですか?」•「コスト構造を見直したら、収益の流れはどう変わるでしょう?」
•「顧客との関係を強化するための活動は何ですか?」 といった“思考を深める質問”を投げかけ、チームの議論を支援します。答えを提示するのではなく、考える方向を示すのがポイントです。
ステップ4:発表・フィードバック ― 比較と気づきを促す
チームごとの発表では、「顧客への価値提供」と「収益の仕組み」を軸に説明させましょう。他チームの発表を聞くことで、自分たちの発想の偏りや強み・弱みを発見することができます。講師は各チームにフィードバックする際、「どのブロックの整合性が取れていないか」「どの要素がユニークか」を具体的に指摘すると効果的です。また、審査形式や投票制度を取り入れることで、プレゼン力や競争意識を高めることもできます。ステップ5:振り返り ― “自分の仕事”との接点を考える
最後に、研修の学びを自分の実務にどう活かすかを考えさせます。 たとえば、「自分の担当業務はキャンバスのどのブロックに位置するのか」「自部署の活動が企業全体にどう影響するのか」を書き出すと、参加者の視座が経営層に近づきます。ここで「一枚のキャンバスが、仕事の意味を見える化する」という実感を持たせることが、研修の最大の成果です。 ファシリテーターの最も大切な役割は、“気づきを引き出す設計者”であることです。 正解を示すよりも、「なぜその選択をしたのか?」を問い続けることで、参加者は自ら経営のロジックを構築します。ワーク後の満足度は、講師の説明量ではなく、参加者の思考量で決まります。
研修成果を高める“振り返り”と実践へのつなげ方
ビジネスモデルキャンバスを使った研修の価値は、「学んだことを業務にどう活かせるか」を考えるところにあります。研修が終わった瞬間が、むしろ“学びのスタート”とも言えます。ワーク中の発見や気づきを一過性の体験で終わらせず、日常の行動に結びつけるためには、効果的な“振り返り”と“実践設計”が欠かせません。
①振り返りの目的は“気づきの言語化”
振り返りの第一の目的は、体験したことを言葉にすることです。チームでの議論や意思決定を通じて、「なぜその判断をしたのか」「他の選択肢もあったのではないか」を言語化させると、学びが定着します。たとえば、以下のような振り返りシートを用意すると効果的です。 •今日のワークで印象に残った“気づき”は?•どのブロックで最も議論が盛り上がったか?
•自分の実務に置き換えると、どのような示唆があるか?
•明日から実践できる小さな一歩は? このように質問を設計することで、学びが自分事として整理され、行動への動機づけにつながります。
②チーム共有で“多様な視点”を吸収する
個人の振り返りの後には、チーム単位での共有を行うとさらに効果が高まります。 同じワークを体験していても、立場や役割によって見えた景色は異なります。「営業出身者の視点」「経理担当者の視点」「マーケティング視点」など、多様な考え方を共有することで、他者理解が深まり、組織的な“共通言語”が生まれます。これが、ビジネスモデルキャンバス研修の副次的な効果の一つです。③現場実践への橋渡し ― “自社キャンバス”の作成
研修の学びを現場で生かす最も効果的な方法は、「自社(または自部署)のビジネスモデルキャンバスを描いてみる」ことです。 チーム単位で自社を題材にキャンバスを再構築することで、研修中の“仮想経営体験”が“実務課題の分析”へと変化します。特に中堅社員や管理職研修では、「自部署の価値提案」「顧客との関係」「主要活動」を明確化するだけで、業務改善や新しい提案が生まれるケースもあります。④経営層との共有で“組織学習”に発展させる
さらに一歩進めるなら、研修成果を経営層に発表・共有する場を設けるのも有効です。参加者が自分たちのキャンバスをもとに「現場での課題」や「提案」を発表することで、学びが単なるトレーニングから“組織学習”へと昇華します。経営層も現場の視点を知る良い機会となり、双方向の理解が深まります。⑤継続的なフォローアップで定着を促す
最後に、研修後のフォローアップを設計しましょう。 たとえば、1か月後にオンラインで成果報告会を実施したり、社内掲示板で各チームのキャンバスを共有したりする仕組みを作ると、学びが持続します。また、上司が部下と「キャンバスを使った1on1」を行うと、日常業務の中で“経営の視点”を意識し続けることができます。ビジネスモデルキャンバス研修の本当の価値は、ワークの面白さではなく、“経営を自分の言葉で語れる社員”を増やすことにあります。参加者が自社の事業を一枚のキャンバスで説明できるようになったとき、組織には共通の理解と方向性が生まれます。学びを現場へ、そして現場から経営へ――この循環こそが、研修を投資価値の高いものにする最大のポイントです。
まとめ
ビジネスモデルキャンバスを使った研修は、単なる経営理論の学習ではなく、「経営を体験する」ための実践型プログラムです。参加者が自らの手で事業を設計し、顧客・価値・収益の関係性を考えることで、これまでの“自分の業務”中心の視点から、“企業全体を俯瞰する経営視点”へと意識が変化します。 特に、若手社員や中堅層にとっては、自分の仕事が組織のどの部分を支えているのかを理解できる絶好の機会です。経営感覚を体感的に学ぶことで、日々の業務の意味づけが深まり、「自分の判断が会社の成果につながっている」という実感を得ることができます。 また、チームでキャンバスを描く過程は、部門間の壁を越えて議論する“共通言語づくり”にもつながります。経営層から現場までが同じフレームで事業を語れるようになれば、組織の意思決定スピードも大きく向上します。 一枚のキャンバスは、経営の全体像を映す鏡であり、社員一人ひとりの視座を高める強力なツールです。ワークを通じて得た学びを日常の業務に活かし、現場から経営を動かす人材を育てていく――それこそが、ビジネスモデルキャンバス研修の真の価値と言えるでしょう。
【執筆者情報】
ビジネスゲーム研究所 米澤徳晃
研修会社に入社後、研修営業、研修講師業に従事。その後、社会保険労務士法人で人事評価制度の構築やキャリアコンサルティング活動に従事。その後、独立。講師登壇は年間100登壇を超え、講師としてのモットーは、「仕事に情熱を持って、楽しめる人たちを増やし続けたい」という想いで、企業研修を行っている。