みなさんは、仕事を進める中で、良く使う考え方や思考の型などはお持ちですか?
それは5W3Hのようなものでも構いませんし、PDCAサイクルや2軸図、マトリックスでも構いません。
他にも有名なところで言うと、
自社の経営環境の分析をする際に使うSWOT分析や3C分析、
自社のマーケティングを考える上で使う4P分析などが挙げられます。
皆さんも、3Cや4P、SWOT分析などが有名ですので、パッと思い浮かぶのではないでしょうか?
こういった考え方は、ビジネスフレームワークと呼ばれ、仕事でよく使われています。
そもそも、フレームワークとは、「枠組み」「構造」といった意味の英単語です。
ビジネスにおいて、フレームワークというと、仕事やマーケティングの場面においては情報や状況を当てはめて、図式化するためのツールのイメージが一般的ですが、定義化すると、「仕事の生産性を向上するための効率的な考え方」という意味合いで普及していると思います。
ビジネスフレームワークの良さは、なんとなく思い浮かんだ考えになるのではなく、ロジカルに考えられて、成果につながることができます。
メリット例
①考えるヒントや取っ掛かりを掴むことができる
ビジネスフレームワークを用いることで、なんとなくの答えといった漠然とした状態から抜け出し、ひとまずポイントとされる要点や流れで考えてみることができます。
②考える時間を短縮することができる
一定の決められた枠組みの中で、思考するため、これはどうなのか、あれはどうなのかと考える状況と比べると、考える時間の短縮をすることができます。
こういったフレームワークの考え方を教えてくれる環境であれば、触れる機会があると思いますが、フレームワークはなかなか教わる機会が少なく、ビジネス本を読んで知ったという人が多いのではないでしょうか?(振り返ると、私自身はそうでしたね…笑)
そこで今回は、仕事の効率化を高めるツールであるビジネスフレームワークについて、ご紹介していきたいと思います。
覚えておいて損はないビジネスフレームワーク30選
戦略・マーケティング系
PEST分析
PEST分析 (PESTぶんせき、英: PEST analysis)とは、政治的 (Political)、経済的 (Economic)、社会文化的 (Socio-cultural)、技術的 (Technological)の頭文字を取ったもので、経営戦略論における環境スキャニングで使用されるマクロ環境要因のフレームワークのことです。
3C分析
3C分析(さんシーぶんせき)とは、企業のマーケティングなどにおいて、顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の観点から市場環境を分析し、経営戦略上の課題を導く分析ツールのひとつです。
SWOT分析
SWOT分析とは、目標を達成するために意思決定を必要としている組織や個人の事業上の競合やプロジェクト計画などに関係する脅威について、外部環境や内部環境を強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats) の4つのカテゴリーで要因分析し、事業環境変化に対応した経営資源の最適活用を図る経営戦略策定方法の一つです。
VRIO分析(ブリオ分析)
Value(経済的価値)、Rarity(希少性)、Imitability(模倣可能性)、Organization(組織)の4項目に対する質問にYESかNOで答え、その結果に応じて自社の競争優位性を図るフレームワークです。
アンゾフの成長マトリックス
アンゾフの成長マトリックスとは、イゴール・アンゾフ(1918-2002)氏によって提唱された、事業の成長・拡大を図る際に用いられるマトリックスのこと。事業の成長を「製品」と「市場」の2軸におき、その2軸をさらに「既存」と「新規」に分けて表した企業の成長戦略をシンプルに表現しており、「アンゾフのマトリックス」や「製品・市場マトリックス」などとも呼ばれる。
ファイブフォース分析
ファイブフォース分析をご存知でしょうか。競争戦略論のマイケル・ポーターが提唱した業界分析手法で、「売り手の交渉力」「買い手の交渉力」「競争企業間の敵対関係」「新規参入業者の脅威」「代替品の脅威」の5つの要因が業界全体の収益性を決めるというものです。5つの力が強いほど業界の収益は低く、魅力のない業界ということになります。
バリューチェーン分析
バリューチェーン分析とは、顧客にValue(価値)が届くまでのプロセスを分解し、チェーンのように繋げて整理していくビジネスフレームワークです。 上流工程から下流工程まで、事業プロセスを価値の連鎖と考え、どこでどんな価値を生んでいるのか、どこを強化すれば良いのかを分析する。
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント
プロダクトポートフォリオマネジメント(Product Portfolio Management)とは、戦略コンサルティングファームのボストンコンサルティンググループ(BCG)が1970年代に提唱した戦略フレームワークです。
横軸に経験曲線効果に基づく相対的市場シェア、縦軸に製品ライフサイクル理論に基づく市場成長性を数値で表現する4象限のマトリクスにより、製品・事業の位置づけと組み合わせを一覧することができます。これにより、企業が展開する複数の製品・事業の戦略の方向性を検討する上で、(1)問題児(育成すべき段階)、(2)花形(現在の取り組みを維持・継続する段階)、(3)金のなる木(投資を抑えて収益を回収・収穫する段階)、(4)負け犬(撤退する段階)を見極めます。
STP戦略
STP戦略とは、消費者志向のマーケティングを実現するためのフレームワークで、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの頭文字を取ったものです。
STP戦略は経営学者のフィリップ・コトラー氏によって提唱され、現在でも多くの企業が基本戦略としているマーケティング手法です。STP戦略によって自社の得意な領域を見極め、マーケティング戦略の立案に活用することが出来ます。
4P分析
4P分析とは、製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、販促(Promotion)の4つのPを用いてどんな製品を、どれくらいの価格で、どのような流通経路で、どうやって宣伝をして、顧客に商品を届けるかを考えるマーケティング戦略のフレームワークです。
4C分析
4C分析とは、マーケティングミックスを顧客の視点から見たもの。 customer value 顧客価値・customer cost 顧客コスト・convenience 顧客の利便性・communication 顧客との会話の4つです。
プロダクト・ライフサイクル
市場に商品が投入されてから姿を消すまでに、導入期、成長期、成熟期、衰退期という4つの段階をたどる。それに応じたマーケティング戦略を考える必要がある。
ポジショニングマップ
2つの軸で市場や顧客を分類して、自社がどこのポジションを狙うのが最適かを検討するフレームワークです。自社のポジションが明確になるように2つの軸を設定する。
AIDMA(アイドマ)
消費者が購買に至るまでの心理プロセスを注目、興味、欲求、記憶、行動の5段階に分け、どこでどう訴求するかを検討するものです。
CS/CE
顧客の満足度(CS)と顧客の期待度(CE)を2軸で分析して、顧客の価値を高めることを考える。例えば、期待が高いのに満足度の低い商品やサービスは急いで改善する必要があります。
問題解決系
ロジックツリー
大項目→中項目→小項目と階層的に物事を考えるときに使う。モレやダブリがないようにツリーをつくっていくのがコツです。
Whyツリー
発生した問題(What)の原因(Why)を洗い出すときに使うツリー図です。
ピラミッドストラクチャー
主張に対する複数の根拠、さらにその根拠に対する根拠・・・・
と並べて、主張をわかりやすく構造化するツリー図です。
フィッシュボーンチャート(特性要因図)
問題の要因を大きな切り口と小さな切口に分けて、魚の骨のように体系化していくフレームワークです。
改善活動に欠かせないツールの一つです。
モア/レス
将来のイメージを共有する際に、増えるもの(More)と減るもの(Less)を挙げることで、具体的なイメージをつかみやすくなります。
コントロール可能/不可能
大きな課題に対して、自分たちの努力でどうにかできる内部の話と、環境変化をはじめとする、自分たちではどうにもできない外部の話を切り分けて考えるフレームワークです。
フローチャート
要素を時間の順番に整理するチャート。工程の流れや処理の手順を分析したり、管理したりするのに使います。流れ図とも呼びます。
タイムマシン法
N年後のありたい姿を考えた後に、それを実現するための中間点での到達目標、1/4地点での到達目標を考えて、ビジョンをアクションに繋げるフレームワークです。
改善の4原則(ECRS)
業務を改善するときに大切な4つの視点をまとめたものです。 排除できないか(Eliminate)、結合できないか(Com-bine)、交換できないか(Rearrange)、簡素化できないか(Simplify)
QCD
ものづくりでは、品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)の3つの視点で考えることが大切です。
アイデア創造系
マンダラート
効率的に発想を広げるツール。中央のテーマから発想したアイデアで周囲の8つのマスを埋め、そのうちのひとつからさらに展開する。これを繰り返すことで無限にアイデアが引き出せます。
6つの帽子
何かのテーマについて大人数で議論するときに、白(情報)、赤(感情)、黒(消極的)、黄(積極的)、緑(創造)、青(戦略)の6つの視点で順番にアイデアを出していく
マネジメント系
マネジメント・ヒエラルキー
組織をマネジメントするには、管理の階層構造を作る必要があります。組織全体のビジョンから、戦略・戦術・計画を経て、日常業務の管理までが有機的につながっているのが望ましいとされています
PDCAサイクル
業務を継続的に改善するには、計画(Plan)、実行(Do)、検証(Check)、改善(Act)のステップを循環させていかなければならない
重要度/緊急度マトリクス
自分たちの仕事を重要度と緊急度で分析して、人材育成や業務システムの改善のような重要度が高くて、緊急度が低い仕事を増やすことを考える。
今回は、仕事の効率化を高めるツールであるビジネスフレームワークについて、ご紹介していきました。
フレームワークを活用することで、思考の整理がしやすくなり、業務のスピードアップが期待できます。ただ、あくまでもフレームワークは一つの思考方法ですので、考えすぎてしまうと逆に時間が掛かってしまいますので気を付けましょう。フレームワークはやってみて、少しずつ理解できるようになっていきますので、各々のフレームワークを試しながら練習してみましょう。
ビジネスゲーム研究所 米澤徳晃
研修会社に入社後、研修営業、研修講師業に従事。その後、社会保険労務士法人で人事評価制度の構築やキャリアコンサルティング活動に従事。その後、独立。講師登壇は年間50登壇を超え、講師としてのモットーは、「仕事に情熱を持って、楽しめる人たちを増やし続けたい」という想いで、企業研修を行っている。