ビジネスゲームはゲーム要素が強いため、「ゲーム楽しかったね~」とただやって終わりになってしまう可能性もあるのです。 ビジネスゲームの効果を最大限に引き出すためには注意すべき点がいくつかございます。本コラムではその注意点をご紹介していきたいと思います。
ビジネスゲームを実施するときに気を付けなければいけない10個の注意点
①ゲームで得たいこと(目的)を明確にしておく
②参加者への動機付け
③リアリティ感((ある程度の)があるものを選ぶ
④グループワークの設定
⑤フィードバックは適切に行う
⑥ゲームの時間設定
⑦安全な環境の提供
⑧資料や設備の確認
⑨ファシリテーターとしての役割とスキルをアップさせる
⑩ゲームの反復実施
①ゲームで得たいこと(目的)を明確にしておく
ゲームの開始前に、何を達成したいのか明確に定義します。これは、ゲームの方向性を示すコンパスとなり、参加者が自身の行動や判断の基準とするものです。例えば、新しい戦略の評価、意思決定のスキル向上、チームワークの強化など、具体的な目標を設定し、それを参加者に明示的に共有することが必要です。
②参加者への動機付け
どれだけ内容が良くても、参加者の興味やモチベーションが伴わなければ、効果は半減してしまいます。ゲームの内容や目的を参加者の日常的な業務に近づけたり、参加者のキャリア目標と関連付けさせたりすることで、参加者の参加意欲を引き上げることができるのです。
③リアリティ感((ある程度の)があるものを選ぶ
シミュレーションが現実のビジネス環境を正確に反映しているかは、ゲームの効果を大きく左右します。ただしあくまでもシミュレーションなので100%現実に即した形実際の業界の動向や情報を取り入れ、リアルなシナリオを作成することで、参加者は実業務に即した判断を下す訓練ができます。
④グループワークの設定
チームでの協力やコミュニケーションは、ビジネスの現場で非常に重要です。役割分担やリーダーシップ、情報共有など、チーム内での調整を学ぶための環境を提供することで、実際の業務に生かせるスキルを習得できます。
⑤フィードバックは適切に行う
ゲーム終了後のフィードバックは、参加者が自身の行動や判断を振り返り、学びを深める大切な時間です。ゲームをやって終わりになりがちで、学びにつながらないのはフィードバックの時間がないからです。フィードバックを講師やファシリテーターが具体的かつ建設的な意見を提供し、次回への改善点や気づきを共有することで、継続的な成長をサポートできるのです。
⑥ゲームの時間設定
ゲームは長すぎても短すぎても、その効果が損なわれる可能性があります。明確なスケジュールを持ち、タイマーやアラームを活用して時間を守ることで、参加者の集中力やモチベーションを維持することができます。
⑦安全な環境の提供
参加者が自由に意見を共有したり、失敗を恐れずに新しいアプローチを試みたりすることができるような、心理的に安全な環境を作ることが重要です。よくありがちなのが参加者同士が上司・部下の関係があり、発言が自由にできない雰囲気があることです。ゲームではフラットに参加してもらった方が、効果が高いので、雰囲気作り、環境づくりはとても大切です。
⑧資料や設備の確認
ゲームに必要な資料や設備、ツールの準備と動作確認を十分に行うことで、進行中のトラブルを防ぐことができます。
⑨ファシリテーターとしての役割とスキルをアップさせる
ゲームの進行役やファシリテーターは、参加者の学びをサポートし、ゲームがスムーズに進むように導く役割があります。ファシリテーターがゲーム進行にまごついたり、間違えたりしてしまっては学びが薄れる可能性があります。 適切なファシリテーション技術やコミュニケーション能力が求められるため、その能力の向上にも努めるべきです。
⑩ゲームの反復実施
ビジネスゲームはルールや難易度が簡単なものもあれば、複雑なものもあります。一度ゲームを実施した後も、参加者のフィードバックや自らの振り返りを通じて、次回以降の改善点を見つけ出し、ゲームを反復実施することでゲームへの理解度、そして学びの質を高めていけるようになるのです。
最後に、ビジネスゲームは参加者の能力開発を目的としています。そのため、ゲームの設計や進行だけでなく、参加者一人ひとりの成長や気づきを大切にし、サポートする姿勢が求められます。
これがビジネスゲームを実施する際の主要な注意点になります。効果的なゲームの実施を心がけることで、参加者のスキルアップや組織の成長に寄与することができるでしょう。
ビジネスゲーム研究所 米澤徳晃
研修会社に入社後、研修営業、研修講師業に従事。その後、社会保険労務士法人で人事評価制度の構築やキャリアコンサルティング活動に従事。その後、独立。講師登壇は年間50登壇を超え、講師としてのモットーは、「仕事に情熱を持って、楽しめる人たちを増やし続けたい」という想いで、企業研修を行っている。