・「先輩が自分に行ってくれたマネジメントをそのまま部下に実施したら上手く行かない…」
・「部下Aへのマネジメントは機能しているが部下Bへのマネジメントは機能せずフィードバックする際に何となく納得していない様子が見られる」
・「叱ったというほどフィードバックをしていないのに部下が凄く落ち込んでしまう」
上記のような管理職が抱えるマネジメントに関する悩みは尽きません。
特に管理職になったばかりの方からのマネジメントに関する悩みの相談は年々に増加傾向にあります。
そこで今回は明日から実践できるマネジメントに関するスキルを1つ紹介します。
突然ですが皆さんはコーチングの4タイプという言葉をご存知でしょうか?
マネジメントに関する書籍に必ず登場する言葉であり、管理職のマネジメント研修などでも必ず聞く言葉だと思います。
そもそも4タイプとは??
4タイプとは人をコミュニケーションの特徴で分ける考え方のことを指しておりコントローラー、プロモーター、サポーター、アナライザーに分けられます。
簡単ですが、ざっくりと、それぞれのタイプの特徴を紹介すると、
コントローラー:行動的で自分が思ったとおりに物事を進めることを好む
プロモーター:アイディアを大切にし、人と活気あることをするのを好む
サポーター:他人を援助することを好み、協力関係を好む
アナライザー:行動に際して多くの情報を集め、分析、計画を好む
といった特徴が挙げられます。
では4タイプごとにもう少し具体的に紹介したいと思います。
コントローラー
まずは、コントローラータイプについて紹介したいと思います。
改めて、コントローラータイプの人間は行動的で自分が思った通りに物事を進めることを好むことが特徴です。
もう少しかみ砕いてお伝えすると、過程より結果を重視する、他人から指示をされたりすることをあまり好まないことが特徴です。
歴史上で有名な織田信長やドラえもんに登場するジャイアンがコントローラータイプに該当すると言われています。
●部下がコントローラータイプだった場合
それでは、このコントローラータイプを部下に持った時のポイントや注意点をご紹介していきます。 まず、コミュニケーションを取るポイントとしては、結論ファースト、話は短く、要点のみを伝えるようコミュニケーションを意識する必要があります。間違っても気を使ってダラダラと結論を後回しにするのは厳禁です。
次に、仕事を任せる際のポイントです。コントローラータイプの方は細かく干渉されて指示を出されることを最も嫌う傾向があります。とはいえ、部下に仕事を任せっきりというわけにもいかないので仕事の進捗状況を確認するタイミングをあらかじめ設定してある程度は信じて任せてしまうのが良いとされています。 任せることに不安を感じる部分もありますが物事を1人で進めて結果を出すことを得意としているのがコントローラータイプですので、そこは信じ切って任せてみましょう。
その他の注意点としては、結果を重視するあまり周り、相手への配慮に欠けてしまい、結果の出ていない同僚や後輩に対して、必要以上に問い詰めるなどをしてしまうことがあるので、上司として行き過ぎた行動をしないように注意して、マネジメントする必要があります。
・ダラダラ話をしない
・信じて任せてみる。報連相のタイミングをあらかじめ設定しておく
プロモーター
次にプロモータータイプについて紹介します。
改めて、プロモータータイプの人間はアイディアを大切にし、人と活気あることをするのを好むことが特徴です。もう少しかみ砕いてお伝えすると社交的で明るく友人・知人や会社内の誰からも好かれることが特徴です。歴史上で有名な豊臣秀吉やちびまる子ちゃんでいうまる子ちゃんがプロモータータイプに該当すると言われています。
●部下がプロモータータイプだった場合
それでは、プロモータータイプを部下に持った時のポイントや注意点をご紹介していきます。
まず、コミュニケーションを取るポイントとしては、話を聞いているというのが分かるようにリアクションを取る必要があります。話している途中に「結論から話して!」と、話の途中で遮る、薄いリアクションを取ることは厳禁です。
次に、仕事を任せる際のポイントです。プロモータータイプの方はコントローラータイプほどではありませんが、細かく干渉されて指示を出されることを嫌う傾向があります。しかしコントローラータイプと異なるのが継続することは苦手という点です。コントローラータイプよりも進捗状況を確認するタイミングをこまめに設定してある程度は任せてしまうのが良いとされています。
そして確認するタイミングなどで“すごい!!”“やるね!!”などの言葉をかけてあげると有効です。
・リアクションは大げさに取ってあげる
・信じて任せてみる。都度、確認タイミングで褒めてあげると良し
アナライザー
次にアナライザータイプについて紹介します。
改めてアナライザータイプの人間は慎重で完璧主義。客観的に物事を捉えて分析を重ねて計画を立てることが特徴です。もう少しかみ砕いてお伝えすると慎重で物事を進める際は事前に情報収集をしてから動く、そして失敗や間違いを嫌うのが特徴です。歴史上で有名な徳川家康がアナライザータイプに該当すると言われています。
●部下がアナライザータイプだった場合
それでは、アナライザータイプを部下に持った時のポイントや注意点をご紹介していきます。
まず、コミュニケーションを取るポイントとしては事前に頭の中を整理して話す必要があります。「細かくは決まっていないけど、やってみてから考えよう!」などのコミュニケーションを取ることは厳禁です。次に仕事を任せる際のポイントです。アナライザータイプの方は先に動いてから考えようといった考えを嫌う傾向があります。なので、ある程度の準備時間を与えることが大切です。そして事前の計画が変更になることに対してもストレスを感じてしまいます。
サポーター
最後にサポータータイプについて紹介します。
改めてサポータータイプの人間はとにかく人との関係を大切に援助することが好きなことが特徴です。もう少しかみ砕いてお伝えするとビジネス(結果)よりも人を大切にすることが特徴です。ドラえもんのしずかちゃんやちびまる子ちゃんのたまちゃんがサポータータイプに該当すると言われています。
●部下がサポータータイプだった場合
それでは、サポータータイプを部下に持った時のポイントや注意点をご紹介していきます。
まず、コミュニケーションを取るポイントとしてはとにかく人間関係を大事にすることを優先するタイプですので、ギスギスした人間関係が最もストレスとなります。結果が出ていないからといって本人を含めたチームの部下を頭ごなしに叱責するのは止めた方が良いです。次に仕事を任せる際のポイントです。サポータータイプの方は仕事を丸投げされることを嫌う傾向があります。なので、ある程度のチーム一帯で進めているという雰囲気作りがとても大切です。褒める際は、「いつもありがとう、君がいてくれて助かるよ」などの言葉がいいでしょう。
コーチングの4タイプについて、詳しく知りたい方は、
鈴木義幸氏著『図解 コーチング流タイプ分けを知ってアプローチするとうまくいく』が明快にわかりやすいので、参考にしてみてください。
最後に
今回、ご紹介したコーチングの4タイプですが、あくまでも、傾向を表しているだけですので、全員が全員に100%当てはまるというわけでは決してありません。コントローラーとアナライザーの要素が半分半分というケースや状況や環境によってタイプが変化することもあります。
「あの人は○○タイプだからこうしなきゃ!」や「○○タイプだから仕方ない~」などと偏見を持って接するのはNGです。あくまでも、こういった傾向が多いということを念頭に置いて、接し方や指導について、PDCAを回していき、うまくいく方法を模索するツールとして、活用してみてください。部下をマネジメントするという立場の方であれば、知っておいて損はない知識です。
ビジネスゲーム研究所 米澤徳晃
研修会社に入社後、研修営業、研修講師業に従事。その後、社会保険労務士法人で人事評価制度の構築やキャリアコンサルティング活動に従事。その後、独立。講師登壇は年間50登壇を超え、講師としてのモットーは、「仕事に情熱を持って、楽しめる人たちを増やし続けたい」という想いで、企業研修を行っている。