研修を考える上で取り入れてみたいゲーミフィケーションとは? ゲーミフィケーションを取り入れるポイントのご紹介

研修を考える上で取り入れてみたいゲーミフィケーションとは? ゲーミフィケーションを取り入れるポイントのご紹介

研修を考える上で取り入れてみたいゲーミフィケーションとは? ゲーミフィケーションを取り入れるポイントのご紹介

近年、企業研修においてゲーミフィケーションを設計したものを採用するのが注目されています。ゲーム要素を研修プログラムに取り入れることで、従業員のモチベーション向上、スキルの習得、チームビルディングを促進できると言われています。しかし、このアプローチを成功させるためには、人事担当者の方が考慮すべき重要な要素がいくつかあります。 今回のコラムでは、ゲーミフィケーションを効果的に活用するための戦略と、従業員の研修経験を最大限に高める方法について考察していきたいと思います。

そもそもゲーミフィケーションとは


ゲーミフィケーションとは、ゲームデザイン要素やゲームの原則をゲーム以外の物事に応用する取り組みです。ゲーミフィケーションを取り入れることにより、参加者のモチベーションを高め、エンゲージメントを促進し、学習の効率化や仕事においてはより楽しく取り組めるようにタスクが捗るようになるのです。

ゲーミフィケーションを用いた企業活動の事例


ゲーミフィケーションを取り入れた企業活動には様々な事例があります。いくつかご紹介しましょう。たとえば、Nike+はランニングアプリで、ユーザーのランニングデータを収集し、達成感を与えるバッジやランキングでモチベーションを高めます。 また、スターバックスのリワードプログラムは、顧客がコーヒーを購入するたびにポイントを獲得し、一定レベルに達すると特典が得られる仕組みです。 これらの例に挙げられるようにゲーミフィケーションは、ゲームの要素を活用して顧客エンゲージメントを高め、ブランドの忠誠度を促進する効果的な方法といえるでしょう。

ゲーミフィケーションに必要な要素と具体例


研修を具体的に設計する前にそもそものゲーミフィケーションに必要な要素をピックアップしておきましょう。一般的には必要な要素としては以下の通りです。

ゲーミフィケーションに必要な要素


①目標設定
明確で達成可能な目標を設定し、参加者がゲームの目的を理解しやすくします。

②進捗フィードバック
ポイントシステム、進行バーなどを用いて、参加者が自分の進捗状況を把握できるようにします。

③報酬システム
達成度に応じた報酬やバッジを用意し、参加者のモチベーションを高めます。

④競争と協力
リーダーボードやチームベースのチャレンジを通じて、参加者間の健全な競争や協力を促進します。

⑤ストーリーテリング
物語を用いて、参加者がより深くゲームに没入できるようにします。

⑥ルールと制約
ゲームのルールを設定し、公平で楽しめる環境を作り出します。

これらの要素は、ゲーミフィケーションを成功させるために重要な要素であり、特に参加者の積極的な意欲とゲームへのモチベーションを高めることができます。

具体例


企業研修でのゲーミフィケーションの具体例をご紹介していきたいと思います。

①シミュレーションゲーム
実際のビジネスシナリオを模倣したゲームを用いて、問題解決能力や意思決定スキルを養成。例えば、チームで仮想企業を経営し、市場変動に対応するゲーム。

②ロールプレイ
特定のビジネス状況を再現し、参加者が異なる役割を演じることで、コミュニケーションや交渉スキルを向上させる。

③ポイント&バッジシステム
研修過程での成果や活動に対してポイントやバッジを付与し、参加者のモチベーションを高める。これにより、研修の完了率や学習効果を向上させる。

④リーダーボード
参加者間のフレンドリーな競争を促進するために、成績や達成度をリーダーボードで表示し、高いパフォーマンスを奨励する。

⑤クエスト&チャレンジ
研修の各段階にクエストやチャレンジを設定し、それらをクリアすることで次のステージに進む。これにより、学習過程をステップバイステップで進められるようにする。

これらの方法は、従来の研修に比べてエンゲージメントを高め、学習効果を向上させることができます。また、楽しみながら学べる環境を提供することで、参加者の学習意欲を刺激します。

ゲーミフィケーションを取り入れるメリットとデメリット

メリット


– 学習意欲の向上:ゲームの要素は参加者の興味を引き、研修への積極的な参加を促します。
– 実践的なスキル習得:実際の業務に近い状況をシミュレーションすることで、即戦力となるスキルが身につきます。
– チームビルディング:共通の目標に向かう過程で、チームの結束力が強まります。

デメリット


– 導入コスト:ゲーム化された研修プログラムの開発には、初期投資が必要です。
– 適切な設計の必要性:目的に合ったゲームデザインが不可欠で、そのための専門知識が求められます。

導入事例と導入する際の注意点

導入事例


ソフトバンクでは管理職から若手・中堅社員の幅広い階層の方々を対象にマネジメント・ゲームを活用しているそうです。マネジメント・ゲームは、経営感覚・コスト感覚を養うためのボードゲームを活用した研修でもともとソニーの社長室長だった西順一郎氏が開発したと言われています。通常の講義型の研修とは違い、経営を疑似体験できるゲームを通して、楽しみながら数字感覚を身に付けられます。

マネジメント・ゲームは、実際のビジネス環境を模倣することで、理論だけでは学べない実践的なスキルが身につくと感じる人が多いです。またリアルタイムでの意思決定を要求されるため、意思決定能力の向上を実感する人がいます。ゲーム形式であるため、楽しみながら学べるというメリットを感じる人も多いです。

導入する際の注意点


目的の明確化


研修の具体的な目標や目的を明確にし、それに基づいてゲーム要素を設計します。 研修の目標が不明確だと、ゲームの設計がずれ、期待される効果を得られない可能性があります。

参加者のニーズとレベルの考慮


参加者のスキルレベルや興味に合わせて、ゲームの難易度や内容を調整します。参加者の関心や能力に合わない内容は、参加意欲の低下や学習効果の減少を招きます。

バランスの取れた挑戦性


ゲームは適度に挑戦的である必要がありますが、あまりにも難しいとモチベーションが下がる可能性があります。 適切な挑戦性がないと、参加者は退屈しやすく、また過度に難しいと挫折感を感じます。

継続的なフィードバックと評価


参加者に継続的なフィードバックを提供し、プログラムの効果を定期的に評価します。

フィードバックや評価がなければ、参加者は自分の進歩を感じにくく、研修の改善点を見逃すことになります。

組織文化との整合性


導入するゲームが企業文化や価値観と整合するようにします。企業文化と合わないゲームは受け入れられにくく、参加者のモチベーションを下げる可能性があります。

ゲーミフィケーションを用いた研修の効果


ゲーミフィケーションを用いた研修を使って調査をされた結果が残っています。

下記のURLから詳細な情報は参照してください。

ゲーミフィケーション研修が従業員の仕事に対する認識と仕事の質に与える影響(坂井 裕紀, 柄本 健太郎, 向後 千春)

この研究論文は、ゲーミフィケーショントレーニングが従業員の職場に対する認識と作業品質に与える影響について述べています。ゲームの要素を仕事に統合するためのゲーミフィケーショントレーニングプログラムが開発され、これが従業員が仕事中に肯定的な感情を表現することに肯定的な影響を与えました。これはより自律的な行動を示し、作業品質の向上が示唆されます。

トレーニングは機械製造会社の従業員を対象に行われ、ゲームのようなアプローチでタスクに取り組むことに焦点を当てました。その結果、従業員のエンゲージメントと作業品質が向上し、職場でのゲーミフィケーションの効果を示しています。

– 対象者:65名の従業員(男性61名、女性4名、平均年齢39.6歳)。
– 研修内容:ゲーム要素を仕事に組み込む「ゲーミフィケーショントレーニング」。
– 結果:研修後、従業員の「ポジティブ感情」(t (64)=3.30, p <.01, 効果量 r =0.41)と「遊び感覚」(t (64)=2.49, p <.05, 効果量 r =0.31)の尺度得点が有意に高まる。
– 「フロー状態」の尺度得点には有意な変化なし(t (64)=1.59, n.s., 効果量 r =0.20)。
– 任意課題に取り組んだ従業員の88%が職場の課題にゲーミフィケーションを適用。58%が職場の課題や個人の課題を解決。
– 94%の従業員が「業務の効率化」などゲーミフィケーションの実践に肯定的反応。

この結果は、ゲーム要素の組み込みが従業員の仕事に対する認識をポジティブに変容させ、作業品質の向上に寄与する可能性を示唆しています。


まとめ


今回はゲーミフィケーションを研修を考える上で取り入れてみたいゲーミフィケーションについてご紹介してきました。 ゲーミフィケーションを用いた社員研修は、従業員のスキル向上とモチベーション維持に効果的です。ただし、その導入には目的の明確化、適切なゲームデザイン、そして継続的な評価と改善が必要不可欠です。注意すべき点もありますので、その点をしっかりと反映させた上でゲーミフィケーションを取り入れてきましょう。


【執筆者情報】

ビジネスゲーム研究所 米澤徳晃

研修会社に入社後、研修営業、研修講師業に従事。その後、社会保険労務士法人で人事評価制度の構築やキャリアコンサルティング活動に従事。その後、独立。講師登壇は年間50登壇を超え、講師としてのモットーは、「仕事に情熱を持って、楽しめる人たちを増やし続けたい」という想いで、企業研修を行っている。

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