目標達成のためにはいくつか秘訣がありますが、その中でも一番大切なのが目標設定です。今回は目標管理で役立つ2つのフレームワークについてご紹介していきます。
MBO(Management by Objectives)とOKR(Objectives and Key Results)は、いずれも組織の目標設定とパフォーマンス管理の方法論ですが、いくつかの重要な違いがあります。それぞれの方法論の特徴と効果について説明します。
MBOとOKRのそれぞれの特徴や効果などのご紹介
MBO(Management by Objectives)
特徴
– ピーター・ドラッカーによって1950年代に開発された方法論。
– 長期的な目標設定と年次目標を重視。
– 個人のパフォーマンス評価と直結している場合が多い。
– 目標達成に関連する具体的な行動計画や戦略が策定される。
効果
– 明確な目標設定が行える。
– 個人と組織の目標の整合性を保ちやすい。
– 定期的な進捗確認とフィードバックが行いやすい。
具体的なイメージ
MBO(目標管理)
目標:年末までに部門の売上を20%増加させる。
行動計画:
新たなマーケティング戦略を構想する。
顧客関係の強化を決意。
OKR(Objectives and Key Results)
特徴
– 1970年代にインテルで開発され、Googleなどのテック企業で普及した方法論。
– より短期的なサイクル(通常は四半期)で目標設定と評価を行う。
– 「Objectives」(目標)は何を達成するかを示し、「Key Results」(主要成果)はその達成をどのように測定するかを示す。
– 目標は挑戦的であることが推奨される。
効果
– 組織のアジリティを高める。
– 組織の透明性を促進し、異なる部門やチーム間の調整を容易にする。
– チームと個人が高い目標を追求する文化を形成する。
– 短期間での目標修正と再設定が行いやすい。
具体的なイメージ
OKR(目標と主な成果)
目標::今四半期に新製品の市場導入を成功させる。
主な結果:新製品のウェブサイトを月間10万人に増加させます。
初月の販売で目標達成率100%を達成する。
MBOとOKRの具体的な手順のご紹介
MBOの手順
MBO(Management by Objectives)の実施には、一般的に以下のような手順が含まれます。
1.組織目標の設定
組織のトップマネジメントが全体の方向性となる戦略的な目標を設定します。これは会社の使命、ビジョンに基づくもので、長期的な計画を含むことが多いです。
2. 部門目標の合意
上層部が設定した組織目標に基づいて、各部門が自らの目標を設定します。これは陣営と部門間での交渉プロセスが行われ、組織の目標に沿った具体的かつ達成可能な目標ですが設定されます。
3.個人目標の設定
部門目標を実現するために、各従業員が自分の貢献を明確にする個人目標を設定します。これは首長との相談のもとで行われ、個人の責任と期待が明確にされます。
4.行動計画の策定
各目標に対して、どのようにして達成するかの具体的な行動計画を立てます。これには必要なリソース、期限、責任者、測定指標が含まれます。
5.定期的な進捗確認
目標達成に向けての進捗状況は定期的にチェックされます。中間評価をしながら、目標に対する進捗度合いを確認し、必要に応じて目標や計画を調整します。
6.パフォーマンスの評価
目標期限が終了したら、実際の成果を評価します。これには個人の達成度、達成の質、期間内の達成などが考慮されます。
7.フィードバックと報酬
目標達成の結果に基づいて、フィードバックが提供され、達成状況に応じて報酬やインセンティブが与えられます。また、達成できなかった場合の理由を分析し、次の目標設定に相談します。
8.新しい目標の設定
評価とフィードバックを踏まえ、次の期間の目標を設定します。このサイクルを繰り返すことで、組織と個人の成長を促進します。
MBOは上層部から下層部へと目標が展開され、各レベルで具体的な目標が設定されるトップダウンのアプローチと言えるでしょう。課題、組織全体の目標達成に貢献することを目指します。
OKRの手順
OKR(Objectives and Key Results)の実施は、以下の具体的な手順で行います。
ステップ 1:目標(Objectives)の設定
目標を定義する
高いレベルで、何を達成したいのかを決定します。目標は具体的であり、同時にインスピレーションを与えるものであるべきです。
参加者を巻き込む:
OKRの設定プロセスには経営陣だけでなく、チームや個人も参加させることが重要です。
優先順位をつける:
最も重要な目標に焦点を絞ります。一度に多くの目標を設定すると、効果が薄れる可能性があります。
ステップ 2:主要成果(Key Results)の定義
測定可能な成果を設定する
各目標に対して、達成が具体的に測定可能な成果を3~5個設定します。
挑戦的かつ実現可能に
Key Resultsは達成可能でなければならず、同時に十分に挑戦的であることが求められます。
ステップ 3:OKRの共有と調整
透明性を確保する設定されたOKRは組織内で共有され、全員がアクセスできるようにします。 アライメントの実行
個人とチームのOKRが組織の全体目標に沿っているかを確認します。
ステップ 4::OKRの実行と進捗確認
進捗の確認
定期的なチェックイン(例えば週次や月次)で、Key Resultsの進捗状況を確認します。
調整と更新:
進捗状況に応じて、必要な調整を加えます。
ステップ 5:評価と反省
スコアリング
OKRの期間が終了したら、各Key Resultをスコアリングし、目標達成度を評価します。
レトロスペクティブ
達成できた理由や達成できなかった理由を振り返ります。
ステップ 6:新しいサイクルの開始
次サイクルのOKRを設定する
前の期間の学びを活かして、新しいOKRを設定します。OKRは一般的に四半期ごとに設定され、組織の戦略的目標に柔軟に対応できるように設計されています。定期的なレビューを通じて、組織は目標に向けた取り組みを調整し、進捗を可視化します
まとめ
MBOとOKRの主な違いは、目標設定の周期、目標の性質、評価方法にあります。MBOは年次目標を重視し、具体的な行動計画を策定するのに対して、OKRは四半期ごとの目標設定を重視し、目標達成のための具体的な測定指標を定めます。また、OKRは組織の透明性を促進し、よりアジャイルな目標管理を可能にするという利点があります。
それぞれの利点を活かしながら目標達成に向けた管理を行ってみてください。
ビジネスゲーム研究所 米澤徳晃
研修会社に入社後、研修営業、研修講師業に従事。その後、社会保険労務士法人で人事評価制度の構築やキャリアコンサルティング活動に従事。その後、独立。講師登壇は年間100登壇を超え、講師としてのモットーは、「仕事に情熱を持って、楽しめる人たちを増やし続けたい」という想いで、企業研修を行っている。