10月になりまして、多くの企業が今年も内定式を計画、実施されたと思いますので、 今回は、内定式の意義について考えてみたいと思います。
今年は、特にコロナウイルスの影響もあり、採用計画に狂いが生じた企業さんもあれば、逆に功を奏して、順調に進んだ企業さんもあると思います。
その中で、今年は、内定式を行うのか?行わないのか?また行うにしても、リアルで行うのか?オンラインで行うのか?といった点で悩まれた採用ご担当者様も多かったのではないかと思います。
内定式をコロナ禍でも行うことに意味があったのか、効果があったのかという点で言えば、
私はズバリ、、、「意味があった、効果があった」と思っています。
↓↓その理由は、最後にお伝えします。
内定式を行う上で、考えておきたい3つのポイント
まずは、そもそも内定式を行う上で、考えておきたい3つのポイントをお伝えします。
①内定式の目的・ゴールを決める
②内定式の開催方法
③内定式のプログラム内容
①内定式の目的・ゴールを決める
1つ目の「内定式の目的・ゴールを決める」という点です。 そもそも、内定式を何のために行うのかを決めておかないと、直前になって、「開催しなくてもいいのでは?」となりかねません。 内定式は、儀式的な意味合いだけでなく、目的を持って、開催することが重要です。目的を持たずに行えば、内定者のモチベーションを下げてしまい、逆効果になる可能性も実はあるからです。 内定式で得られる効果を踏まえた上で、目的を設定してみましょう。 また、きちんと目的を設定していれば、行った結果の良し悪しも判断できますので、ぜひ設定してみてください。
<一般的な内定式で得られる効果>
●入社希望度を高める
●企業理解を深める
●内定者同士のコミュニケーションを図る
●内定者フォローの一環として
実際に当社がお手伝いしている採用支援先でも、コロナ対策をしながら、オンラインではなく、リアル(対面)式で、内定式を行いました。コロナ禍で、どの企業さんもZoom等のオンライン説明会に切り替わり、選考から内定出しまでも、オンライン選考、WEB選考にシフトした企業さんが多かったと思います。
オンラインで、選考フロー全部を完結させるかどうかは一長一短がありますが、仮に完結した場合は、入社希望度が下がってしまう可能性もありますので、注意が必要です。
当社が採用サポートしている企業様は、建設業のため、実際の「現場」を見てみないと、就活生の不安が払拭しきれなかったこともあり、最終選考と現場見学会はリアル対応をしました。また現場見学は、極力少人数で行ったため、内定者同士集まる機会が作れない状況でしたので、内定式を行った次第です。
②内定式の開催方法
さて、次に2つ目の「内定式の開催方法」についてです。
昨年までは、内定式というと本社の会議室やどこか別の貸会議室、ホール等の大きい会場を借りたりするのが一般的でした。その場合は、会場までの交通費については、企業側が負担するケースが一般的と言われています。内定者の参加率も上がりますし、交通費を出してくれることで、感謝の気持ちが高まり、自社への愛着度も高められるからです。
今年は、コロナ禍ということもあり、リアルの対面式だけではなく、オンラインでの開催も増えたようです。
オンラインであれば、会場の心配はあまりありませんが、厳かな雰囲気を醸し出せないため、緊張感を持たせることや感動を与える催しというのはしづらいかもしれません。
その場合、プログラム内容が大きく左右すると思います。
後述するプログラム内容と重複してしまいますが、私が担当した企業様では、内定式で流す『内定おめでとうMovie』を作りました。
これは、少し労力がかかりますが、担当した人事だけではなく、OBや採用に関わった社員、役員からコメントをもらい、最後に社長からのメッセージを流すというものです。
※参考にしたのは、NHKの『プロフェッショナル仕事の流儀』やTBSの『情熱大陸』といった番組のパロディー動画のようなもので、内定者の心をかなり掴めたようなお声をいただいたようです。
内定式は、決して、「オンラインだからできない」というものでもありませんので、オンラインの特徴を活かしたプログラムで実施すれば、効果はリアルと変わらずに実施できると思います。
③内定式のプログラム内容
最後に3つ目の「内定式のプログラム内容」についてです。
内定式の一般的なプログラムとしては、以下のものが挙げられます。
【内定式のプログラム内容】
・内定通知書の授与
・社長、役員などの講話
・内定者食事会
・レクリエーション
・社員との交流
・会社の施設見学、現場見学
・事業内容などの説明
・内定者面談
・内定者研修
内定者から出てくるマイナスの声として、「なかなか同期同士と絡む時間がなく、もっと話がしたかった」、「役員陣との会話が弾まず、良い印象を与えられたか不安」といった学生からの不安の声も少なくありません。そのような印象を与えないためにも、プログラムは内定者が会社に馴染めるような工夫をしてみることが重要です。
以上、ここまで3つのポイントについて整理してきました。この3点は、当たり前のことではあるのですが、意外に疎かにされてしまいがちのことでもあるので、ぜひ再度、見直してみてください。
さて、冒頭で、お伝えした「内定式をコロナ禍でも行うことには意味があったのか、効果があったのか?」という点については、効果があったと思っています。
実際に参加した内定者から上がった声をご紹介します。
●他の内定者と会えたので、仲間がちゃんといて安心できました。
┗やはり説明会から選考までをオンラインで行っていたのと現場見学も少人数で行っていましたので、「同期がちゃんと存在しているのかな?」、「同期が苦手なタイプだったら、どうしよう?」という不安点があったようです。そこを解消できたのは、良かったと思っています。
●入社への決意が固まりました。 ┗内定式では、お客様の役員陣から、業界の置かれている環境と今後のビジョンを説明してもらいました。また内定者の方々から1分間決意表明スピーチをしてもらい、入社への決意、活躍したいことを考えてもらったことで、入社への意識が高まったようです。
●同期との仲が深まり、その後、ラーメンを食べに行きました(笑) ┗内定式自体は、時間を短時間で行いました。内定式30分、内定者交流タイム45分で行ったので、例年行っている内定者交流食事会はできませんでした。しかし、内定者同士が仲良くなれたそうで、そのあと、みんなでラーメンを食べに行ったそうです。
こういった声があがった点から見ても、当初、設定した目的の「同期同士の交流」、「入社希望度を上げる」、といった点がクリアできたと思いますし、コロナ禍でも内定式を行った意義はあったのではないかと感じています。
内定式をまだ実施できていない会社さんや延期している会社さんは、コロナ禍でも、実施するメリットを理解していただけますので、準備をし始められてはいかがでしょうか?
多くの会社が内定式を10月1日に行いますが、別に目的が違えば、10月1日でなくても良く、問題ない訳ですので、入社までに行っていただくことも、ぜひ検討してみてください。
ビジネスゲーム研究所 米澤徳晃
研修会社に入社後、研修営業、研修講師業に従事。その後、社会保険労務士法人で人事評価制度の構築やキャリアコンサルティング活動に従事。その後、独立。講師登壇は年間50登壇を超え、講師としてのモットーは、「仕事に情熱を持って、楽しめる人たちを増やし続けたい」という想いで、企業研修を行っている。