2020年度から爆発的に増えたオンライン研修ですが、みなさんはすでにオンライン研修を行いましたか?
私自身、昨年4月から合計80登壇ほどさせていただきました。
うまくいったことも、うまくいかなかったことも、たくさん勉強させていただきました。
今回は、オンライン研修でこれさえ、抑えておけば、失敗しない7つのポイントをご紹介します。
オンライン研修とは
そもそもオンライン研修とは、Web会議システムなどを用い、パソコンやタブレット、スマートフォンを通じて、受講できる研修のことです。 講師のいる会場と各オフィスや受講生の自宅をインターネットでつなぎ、受講者は手元のテキストやPC画面を確認しながら、講師の声を聞きながら、研修を学んでいくスタイルです。
パソコンなどの機器やインターネット環境等の最低限の準備は必要ですが、オンライン研修は、リアル(オフライン)の研修とは違い、受講生は外の研修会場や場所に出かける必要がなく、全国どの場所からでも参加できるのが特徴です。
ここ数年は、働き方改革によって、テレワークを導入する企業が増え、Web会議システムを導入している企業も増えてきたことにより、オンライン研修に移行しやすい環境が少しずつ広まってきたようです。その中で、昨年は、新型コロナウイルスの拡大をキッカケに多くの従業員を1つの場所に集めて行う研修が難しくなってきており、オンライン研修へ切り替えている企業数が爆発的に増えたようです。
オンライン研修の種類
オンライン研修は大きく2タイプに分かれます。
・ライブ配信型
・録画型
1つ目が「ライブ配信型」で、2つ目が「録画型」です。「ライブ配信型」は、ZOOMやTeams、WebexといったWeb会議システムを使って、リアルタイムで研修を受講するタイプを指します。「録画型」は、録画された研修プログラムをオンライン上で受講するタイプで、一般的にeラーニングを指すことが多いです。
オンライン研修のメリットとデメリット
オンライン研修には、大きく5つのメリットがあります。
メリット
・全国どこからでも開催が可能で、受講生もどこからでも参加可能
・作業工数、交通費削減など、さまざまなコスト削減につながる
・リアルタイムで、講師に質問ができ、不明な点や疑問点をその場で解決できるところ
・双方向のコミュニケーションが取れるため、受講生が受け身になりにくい
・録画のオンデマンド配信が可能
研修を社内で企画しようとした場合、考えなければいけないものの1つに、受講生の交通費や宿泊費、会議室代、などの費用コストです。東京の会社に、全国の支社(福岡や大阪、仙台など)から社員を集めると相当の費用が掛かります。また移動時間のような時間的コストもかからないため、 今後、導入に拍車がかかるでしょう。
オンライン研修には、大きく4つのデメリットがあります。
デメリット
・参加意欲が保ちづらい
・集中力の維持が難しい
・実践型の内容には向いていない
・参加者から受ける影響が半減する
オンライン研修はリアルの研修と違い、他の参加者の意欲を肌で感じられないことから、自分事として捉えづらく、他人事のような参加姿勢になる傾向があります。リアルの研修では、参加者の表情・態度に応じて、講師が臨機応変に雰囲気を作り、参加意欲を高めていきますが、オンライン上では時にタイムラグも発生し、参加への意欲が削られることもあります。また、オンライン研修で不向きな内容は、実務の動きが発生するものなどがあります。例えば、ビジネスマナー等のロールプレイングは、講師が一度にチェックできる対象人数が限られることや、動きが見えづらいことから、不向きな面があります。
オンライン研修もリアルの対面研修と同じように、メリット、デメリットもありますので、 研修の内容や研修のゴールから逆算して、実施方法を検討してみてください。
オンライン研修を行うときに気を付けたい3つのポイント
オンライン研修を行うときのポイントについて、「事前準備→本番環境→研修後」の3つの流れで見ていきたいと思います。
事前準備編
①操作マニュアルの作成をし、共有しておく
ZOOMやTeamsなどのWeb会議ソフトなどのマニュアルを作成し、共有しておいた方が良いです。 受講生の職種や業界によってPC操作に慣れていない人もいますし、世代によって、オンライン研修への受けたいと思うまでの心理状態には大きな差があります。操作方法が分からないと、そもそも研修開始までに時間が掛かってしまい、遅れてしまう可能性があるのと、研修ワークに参加できなくなるなど、研修効果が半減してしまいます。マニュアルを作成することで、研修への参加態勢が整います。
②接続テストをしておいてもらう
オンライン研修では、PCやネット回線、マイクの設定・確認などの準備に時間がかかります。できれば前日までに、機材の動作確認やネットワークへの接続テストなどを実施しておきましょう。
本番環境編
③オペレーショントレーニングを実施する
講師や企画する社内の運営側がトレーニングしておくことは、もちろんですが、受講生にもあらかじめ、ZOOMなどのWeb会議システムの操作方法を3分でも良いので、研修冒頭にトレーニングすることが重要です。マニュアルを作成しておいても、マニュアルを読んでない人も多いので、研修の冒頭で一番慣れていない人を基準にした「オペレーショントレーニング」を実施するとよいでしょう。
オペレーショントレーニングの項目例 ・マイクのオン、オフの切り替え方(ミュート操作) ・カメラのオン、オフの切り替え方 ・「反応」ボタンの使い方で、リアクションの確認
④集中力を維持できるタイムスケジュールにする
「ZOOM疲れ」という言葉と言われるように、長時間オンラインの画面を見ていると、極度に疲れます。周りに参加者がいない環境では、受講者の集中力には限界がでてきます。 60分前後で、休憩を取るなどのタイムスケジュールを作ることが良いとされています。
また、研修内容にもよりますが、知識を学ぶ内容の研修では、事前にテキストを配布し、知識の解説部分の読み込みと個人ワークは各自で実施した上で、オンライン研修中は、なるべくグループワークやディスカッションに時間を割き、オンラインの実施時間を短く実施するのも集中力が維持しやすくなります。
⑤アシスタントをつけておく
オンライン研修を円滑に進めるためには、講師だけではなく、必ず1名は、アシスタントをつけましょう。特に、Web会議システムの操作に慣れた方や、機材トラブルに即対応ができる人がいるだけで、講師や受講者が心配することなく、進めることができます。 受講生が15名未満であれば、アシスタントは特に要りませんが、20名を超える場合などは、通信障害なども発生する人も出てきますので、アシスタントは1名以上つけた方が良いです。
⑥受講ルールを決めておく
オンライン研修では、カメラをオフにすることが可能です。それを「良し」としてしまっては、本当に 画面の前に受講生がいるのかもわかりませんので、ルールとしては、「顔出し受講」を原則にしておいたが方が良いです。自宅で受講する人の中には、「部屋を映したくない」という人もいます。その際は、バーチャル背景が使えますで、そういった機能もあらかじめ伝達しておけると良いでしょう。 顔だし受講以外のルールでは、講師が話をしているときはマイクのミュート設定などがあります。 研修がスムーズに進むようにルールを決めておき、研修冒頭で伝えるようにしておきましょう。
研修後編
⑦オンライン研修内容の理解度を測る
リアルの研修でも、オンライン研修もそうですが、研修受講後は、必ずアウトプットさせる仕組みを作りましょう。単純にアンケートをGoogleフォームなどで作成し、回答させるでも、構いませんし、Wordの400字以上のレポートを提出でも構いません。
オンライン研修では、どうしても受講生の表情や態度から判断できる受講生の理解度が限定的になってしまいます。学んでほしいメッセージが受講生にきちんと伝わっているか?の確認のためにも必ずアウトプットさせる仕組みを整えておいた方がやりっぱなしにならずに済みます。
さて、今回、オンライン研修を行うにあたって、3つの流れで確認していきました。
オンライン研修の運営を初めて行われる際は、不安も多いでしょう。画面共有、ブレイクアウトルームなど、人数が増えれば、増える分、使い勝手も変わり、人数が数人での打ち合わせでWeb会議システムを使用するのと、数十人で、使用するのとでは、かなり差が発生します。
初めのうちは、知識豊富な人に相談しながら、企画してみましょう。オンライン研修は、これからの時代の新しい教育の方法として確立されていきます。やってみて、わかることもたくさんありますので、ぜひ1度は、企画してオンライン研修を実施してみてください。
ビジネスゲーム研究所 米澤徳晃
研修会社に入社後、研修営業、研修講師業に従事。その後、社会保険労務士法人で人事評価制度の構築やキャリアコンサルティング活動に従事。その後、独立。講師登壇は年間50登壇を超え、講師としてのモットーは、「仕事に情熱を持って、楽しめる人たちを増やし続けたい」という想いで、企業研修を行っている。