適性検査を採用だけではなく、 人材開発・研修に活かすためには?
~3つの具体例のご紹介~

適性検査を採用だけではなく、 人材開発・研修に活かすためには?<br>~3つの具体例のご紹介~

適性検査を採用だけではなく、 人材開発・研修に活かすためには?
~3つの具体例のご紹介~

適性検査

就職活動や転職活動の際に行われる適性検査。

みなさんも一度は受けられたことがあるのではないでしょうか?

一言で適性検査と言っても、世の中には多種多様な適性検査があるようです。

適性検査を実施している会社は少なくないと思いますが、
どのようなメリット、デメリットがあるのかを今回のコラムでは考察していきたいと思います。

目次
そもそも適性検査とは
適性検査のメリットデメリット
適性検査の種類と内容のご紹介
適性検査を研修で活用する方法

そもそも適性検査とは


職業・学業などにおける特定の活動にどれほど適した素質をもっているかを判定するための検査で、人材の適材適所を見極めるための手法の一つです。

適性検査は、一般的に就職活動や転職活動の際に使われることが多いですが、応募者が企業の社風やバリュー(価値観)に合っているかどうかや募集している職種に、性格や能力の面でどの程度合っているかを検査するもので、応募者と企業とのミスマッチを防ぐのに役立ちます。

適性検査といっても、能力を測る能力検査や性格を測る性格検査など、様々な項目で設定されています。

●性格・適正


人間性や、考え方の軸など、パーソナリティを定量的に測定し、価値観なども測定できます。

●学力・能力


思考力や論理性、数値能力など、基本的な能力を定量的に測定し、
入社後に活かせる能力をどの程度持っているのかの判断や、仕事で必要な能力のベースがあるかなどを参考にします。

●社会人としての教養と知識力の判断


入社後、研修や仕事について来られるだけの教養があるかどうかの判断材料になるでしょう。

●リーダーシップ


リーダーシップとしてのスタイルやコミュニケーションを診断する適性検査もあります。

適性検査は紙のテスト(ペーパーテスト)で行われるのが一般的ですが、
今はもうPCやスマホからインターネットで適性検査を行う企業も増えてきました。

適性検査のメリット/デメリット

適性検査を利用するメリット


適性検査を利用するメリットは下記のようなものが挙げられます。

・受検者の評価の客観性を一定数、担保できる
・人物評価の視点を多角化・基準化できる
・人事データの収集に役に立つ
・人事データの運用に役に立つ
・現存の従業員や応募者の資質的傾向を分析できる
・判定における公平感・納得感を確保できる
・選考における人事担当者の負荷を軽減できる

特に採用活動においては、適性検査を用いることで、 面接では見極められない資質や傾向を測ることができるため、有効です。

適性検査を利用するデメリット


デメリットには下記のようなものが挙げられます。

・測定できる能力・資質は限定的である
・絶対的な尺度とはなりにくい

適性検査は種類や項目が前述したように多種ありますが、それでもすべての資質や特性を測り切れるかというと、
そういう訳でもありませんし、受検者が回答時に誤って入力、記入をしてしまった場合、結果が本来得られるものと変わってしまっている能性もあります。 そういった意味でも、絶対的な尺度とはなりにくいものです。

適性検査の種類と内容のご紹介

適性検査の種類は世の中にたくさんあり、30種類以上存在します。 今回は、その適性検査の一般的なものからニッチなものまでご紹介したいと思います。

●老舗感がある有名どころ

(1)SPI
SPIとは、Synthetic Personality Inventoryといい、英単語の頭文字を取ったものです。

リクルートキャリアが開発した適性検査で「能力検査と性格検査を併せ持った、高度な個人の資質を総合的に把握する検査」と定義されています。学生の就職活動で多く用いられるなど、人材採用時の判断材料として広く用いられています。SPIは2013年にSPI3と大幅に改訂されており、時代に合わせてバージョンアップを遂げている適性検査です。

大手企業だけでなく中小企業にも導入実績が多数あり、その年間利用社数は約12,000社です。

費用 実施1名ごとに4,000円
導入社数 年間利用数12,000社
検査手段 -
用途 大卒採用・中途採用・高卒採用
測定領域 -
提供企業 リクルートキャリア
サイトURL https://www.spi.recruit.co.jp/

SPI3で実施されている適性検査の検査対象は、大学生や高校生などつの対象に分けられています。

ペーパーテストの場合
名称 検査対象 検査内容 能力検査 性格検査
SPI3-U 4大生 言語・非言語 70分 40分
SPI3-A 4大生 言語・非言語 50分 40分
SPI3-B 4大生 言語・非言語・数的処理 90分 40分
SPI3-G 社会人 言語・非言語 70分 40分
SPI3-H 高校生 言語・非言語 70分 40分
SPI3-R 4大・短大 事務処理能力 57分 40分
SPI3-N 短大・高校生 計算・事務処理能力 51分 40分

(2)玉手箱
玉手箱ⅠVer.2では「ヴァイタリティ」「プレッシャーへの耐力」といったパーソナリティに関する質問や行動・経験に関するアンケートが実施されます。

職務を遂行する際に重要視される能力特性の9項目について、予測値と面接時のチェックポイントの両方を分析する適性検査です。検査手段は、Webテストが採用されおり、成人一般向けに作られています。

費用 120万円
導入社数 -
検査手段 Webテスト
用途 成人一般
測定領域 パーソナリティに関する質問 行動・経験に関するアンケート
提供企業 日本エス・エイチ・エル
サイトURL http://www.shl.co.jp/

(3)CUBIC(キュービック)
受検時間は約20分です。検査実施後回答用紙をファックスすれば、当日および翌営業日に診断結果がメールで送られてきます。登録手続きを行ったその日から利用が可能です。優秀かつ組織に定着する社員を採用したい、職種のミスマッチを防ぎたい場合に利用できます。

費用 1名あたり1,500円~1,800円
導入社数 無料お試し診断申し込み2,880社のうち、半数の企業で正式利用
検査手段 ペーパーテスト、Webテスト
用途 採用・新卒採用・中途採用、評価、配置転換
測定領域 能力、性格、趣味、指向、ストレス耐性、職業適性など
提供企業 e-人事
サイトURL https://www.e-jinjibu.jp/

適性検査
出典:適性検査_CUBIC引用

(4)GAB
GABとは、新卒の総合職を採用するときに用いられる適性検査です。言語と計数の知的能力やパーソナリティの測定結果のほか、ヴァイタリティとチームワークなど計9項目の特性、将来のマネジメント適性、営業や研究開発などの8項目の職務適性の予想ができます。

長い間、検査手段は筆記によるマークシートテストのみでしたが2012年よりWebテストも導入されました。

費用 問題冊子価格600円 採点処理価格3,500円
導入社数 -
検査手段 マークシートテスト、Webテスト
用途 新卒総合職の採用
測定領域 言語理解・計数理解7・パーソナリティ
提供企業 日本エス・エイチ・エル
サイトURL http://www.shl.co.jp/

(5)Compass(コンパス)
Compass(コンパス)はストレス耐性の確認に特化しており、抑うつ・ストレス耐性やその傾向についてアウトプットします。自社との相性を独自のものさしで判断できるので、新卒学生の採用時のパーソナリティ把握にも使用できます。

ペーパーテスト、Webテスト、インハウスなどを用いて検査します。

費用 2,000円/名(半額プラン・定額プランあり)
導入社数 非公開
検査手段 ペーパーテスト、Webテスト、インハウス
用途 新卒採用、中途採用、パート・アルバイト採用、評価、配置転換
測定領域 能力、性格、興味、指向、ストレス耐性、職業適性
提供企業 イグナイトアイ
サイトURL https://www.igniteeye.com/

適性検査は大手の企業のものから中小企業の開発メーカーも含めると、30種類以上存在します。
今回は、有名どころの一部をご紹介しております。

適性検査を人材開発・研修へ活用するための3つの具体例


適性検査を採用評価などに活用するだけではなく、人材開発・研修に活用することが可能です。
今回は、3つの具体例をご紹介します。

①適性検査を自己開示のツールに活用して、コミュニケーション研修に活かす

適性検査の結果は自己開示のツールに活用することで、コミュニケーション研修に活かすことができます。私のお客様では、入社2~3年目に研修を行うタイミングで適性検査をあらためて実施し、研修プログラムに組み込むことで、データの調査だけでなく、情報開示につなげ、コミュニケーションの活性化につなげることもできます。

適性検査

適性検査

出典:SRステーションのパーソナリティ診断を引用

②適性検査の結果を踏まえ、強み、弱みを上司が理解し、マネジメントツールに活かす

適性検査の結果を個人が振り返り、気づきにつなげることに活用できるものですが、 最近では、上司や指導員に適性検査の結果を共有し、現場での指導に活かしてもらうケースも増えているようです。上司や指導員への共有専用のフィードバックシートがついている適性検査の場合、新メンバーの特徴をあらかじめ把握できるため、一人ひとりに応じた指導に活用しやすいようです。

③従業員の適性検査の分類データベースを作り、成果の出せる人材の共通点を見つけ、人材開発のロールモデルを構築する

適性検査は入社時の適性確認のために行うだけではなく、入社3年後、5年後、と一定期間に複数回に渡って実施することで、さらにデータの有効活用ができるようになります。 とくにコンピテンシーなど行動特性を見る適性検査では、入社後の活躍との相関や入社後の成長度合いを確認し、採用基準はもちろんのこと、入社後の社員についても配置や教育の妥当性を検証することが可能です。


今回は、適性検査を採用だけではなく、自社の人材開発・研修に活かすための活用方法について、ご紹介してまいりました。 適性検査は入社時だけでなく、社内の研修に活用することで、2度、3度使えて、費用対効果も倍増することができます。採用時しか活用していなかった企業様は、ぜひ、研修時にもご活用ください。


【執筆者情報】

ビジネスゲーム研究所 米澤徳晃

研修会社に入社後、研修営業、研修講師業に従事。その後、社会保険労務士法人で人事評価制度の構築やキャリアコンサルティング活動に従事。その後、独立。講師登壇は年間50登壇を超え、講師としてのモットーは、「仕事に情熱を持って、楽しめる人たちを増やし続けたい」という想いで、企業研修を行っている。

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