今回はそのエンゲージメントを高める企業の取り組みについて考察していきたいと思います
そもそもエンゲージメントとは
エンゲージメント(engagement)とは、「婚約」「誓約」「約束」「契約」などの意味を持つ英単語ですが、「深い関わり合いや関係性」を意味する言葉として使用されています。 少し古い呼び方を言えば、「愛社精神」「愛社度」という意味合いが強いでしょう。
エンゲージメントをなぜ高めた方が良いのか?
エンゲージメントを高める必要がなぜあるのでしょうか? エンゲージメントを高めた方が良い理由としては、いくつかありますが、 組織の生産性、成果および競争力に多大な影響を及ぼすためです。
例を挙げると下記のような理由でしょう。
①生産性の向上
エンゲージメントの高い従業員は、エンゲージメントの低い従業員に比べて仕事の効率と品質が高いことが多いです。 自社の商品、自社の業務内容にプライド(誇り)を持っており、仕事に対して「情熱」を持っていることが多いです。 その結果、高い品質で仕事を行うことができるのです。 またエンゲージメントが高い従業員は、新しいアイデアや改善提案を積極的に提案してくれる傾向がありますし、仕事に対する注意力が高く、責任感が強いため、職場での事故やミスを減少させる可能性があるのです。 これにより、企業は市場での競争力を強化することができます。
②従業員の満足度とリテンション
キャリアが自由に選択できるようになった現代では退職、転職が一定数発生してしまいます。 エンゲージメントの高い従業員は、自分の仕事や企業に満足しており、退職する可能性が低いと言われています。 退職が少なくなれば、新しい人を採用せずに済み、採用コストを抑えることもできますし、新人教育のコストを削減することができるのです。
③顧客満足度の向上
エンゲージメントの高い従業員は、前述したとおり、仕事の品質が高くなりますので、 顧客サービスの品質も高くなることが多いです。これにより、顧客満足度やリピート率が向上し、企業の収益にプラスの影響をもたらす可能性があります。
④自社のブランディング向上
エンゲージメントの高い従業員は、自分の会社に誇りを持ち、外部の人々に対しても、その肯定的な評価を伝えることが多いです。 企業のブランディングにもつながりますし、「社長ではなく、社員が良い会社というなら、良い会社なんだろう」と思われ、評判が良くなるはずです。こういったブランディングが上がることで採用力強化にもつながります。
従業員が自分の仕事や組織に関わっていると感じることで、企業全体のパフォーマンスと結果が向上するのです。 総じて、従業員のエンゲージメントを高めることは、企業・チームの成果につながっていくため、大切だと言えるでしょう。
エンゲージメントを高めるための取り組みのご紹介
エンゲージメントを高めるための取り組みとしては従業員のモチベーション向上、コミュニケーションの促進、職場環境の改善など、多岐にわたります。以下に、具体的な取り組みをいくつか挙げてみましょう。
①フィードバック 文化の醸成
【具体的な取り組み内容】
定期的な従業員満足度アンケートの実施、匿名のフィードバックボックスの設置、マネージャーとの月次の1on1のミーティングの設定、 などが挙げられます。
【理由】
従業員が自分の意見や感じたことをオープンに共有できる文化を育てることで、問題点や改善点を早期に発見し、企業全体の進化を促進することができます。
②キャリアの検討とキャリア開発
【具体的な取り組み内容】
研修プログラムの提供、メンタリングやコーチングセッションの開催、キャリアの発展に関するガイダンス。
【理由】
従業員が自分の成長と将来のキャリアパスを明確に定めることができれば、その動機づけやコミットメントが向上します。
③ワークライフバランスの促進
【具体的な取り組み内容】
フレックスタイム制度の導入、子育て介護やに対応した休暇制度、リモートワークの推進。
【理由】
ワークライフバランスが整っていると、ストレスが軽減され、職場の雰囲気や生産性が向上します。
④明確なビジョンとミッションの共有
【具体的な取り組み内容】
定期的なオールハンズミーティング、ビジョンやミッションを明確に伝える社内コミュニケーションツールの活用。
【理由】
全員が共通の目標や方向性を持つことで、組織全体のアラインメントが向上し、一体感を醸成します。
⑤チームビルディングと社内活動
【具体的な取り組み内容】
チームのオフサイトイベント、チームビルディングゲーム、社内スポーツ大会や交流会の実施。
【理由】
チーム内の絆や信頼感を深めていくことで、妥協なコミュニケーションと高い生産性を実現します。
砂漠からの脱出ゲーム:https://business-games.jp/teambuilding_sabaku/
7人の人事異動当てゲーム:https://business-games.jp/communicationgame_jinjibu/
サッカーのポジション当てゲーム:https://business-games.jp/communicationgame_soccer/
⑥健康経営やウェルビーングの取り組み
【具体的な取り組み内容】
無料の健康診断や健診のオプション追加、オフィスでのヨガやメディテーションクラス、健康的な食事の提供。
【理由】
従業員の健康を考えることは、長期的な生産性と満足度の維持につながります。
⑦公平な報酬と評価
【具体的な取り組み内容】
定期的な市場調査を基にした給与の見直し、360度フィードバックの導入。
【理由】
正当な評価と報酬は、従業員のモチベーションと信頼を高める重要な要素です。
⑧ダイバーシティ(多様性と包摂性)の推進
【具体的な取り組み内容】
ダイバーシティ研修の実施、様々なバックグラウンドを持つ人々の採用推進。
【理由】
多様な背景や経験を持つ従業員が集まることで、より大雑把な視点やアイデアが生まれ、企業の競争力が向上します。
⑨リーダーシップのトレーニングと開発
【具体的な取り組み内容】
マネージャー向けの研修プログラム、外部講師を招いたセミナーの開催。
【理由】
効果的なリーダーシップは、チーム組織の生産性、満足度、取り組みの向上をもたらします。
⑩コミュニケーション促進のためのツール導入
【具体的な取り組み内容】
内部コミュニケーションツールの導入、定期的な情報共有のセッションの実施。
例えば、wevoxやカオナビなど、エンゲージメントツールも増えて多くなってきています。
【理由】
オープンで透明なコミュニケーションは、脅威を回避し、組織内の見通しを立てます。
ほかにもエンゲージメントカードというものがあります。
チームで価値観を共有し合うことにより、相互理解が深まり、
組織内での信頼関係や心理的安全性が確保され、 エンゲージメントを高めようとする目的のワークショップ用カードです。
https://engagement-card.com/
こういった取り組みもエンゲージメントを高めることにつながるでしょう。
今回はエンゲージメントを高めるための企業の取り組みについてご紹介しました。 エンゲージメントを高めることが、結果として企業の生産性や売上、従業員の満足度を向上させることにつながるはずです。
エンゲージメントを高める取り組みは決して賞与や報酬UPだけではありません。 お金を掛けずとも、できることはたくさんありますので、できるところからぜひ取り組んでみてください。
ビジネスゲーム研究所 米澤徳晃
研修会社に入社後、研修営業、研修講師業に従事。その後、社会保険労務士法人で人事評価制度の構築やキャリアコンサルティング活動に従事。その後、独立。講師登壇は年間100登壇を超え、講師としてのモットーは、「仕事に情熱を持って、楽しめる人たちを増やし続けたい」という想いで、企業研修を行っている。