以前のコラムでファシリテーションスキルについてご紹介しましたが、今回はそのファシリテーション研修で役に立つビジネスゲームを3つご紹介していきます。
ファシリテーションスキルとは
ファシリテーションスキルとは、会議などの話し合いの場で円滑に進行問題解解決に向けた議論を円滑に進めるためのビジネススキルです。
会議やミーティングの場では、参加者の意見を引き出し、議論を活発化させ、最終的に参加者からの合意形成を図ることが大切です。
(ファシリテーションスキルを発揮し、会議を進行する役割を担う人をファシリテーターと呼びます)
ファシリテーションスキルを身に付けてもらうことで、会議やミーティングの生産性が格段に上がるはずです。
ファシリテーション研修に役立つゲーム3選
NASAゲーム
NASAゲームとは、研修や採用選考時のグループワークでチームビルディングや合意形成の要素を学べるゲームです。 グループとチームは目的意識を持って、活動しているかどうかが大きな違いですが、ただのグループからチームに変化していく流れを体験することができます。
【ゲームの設定】
ゲームの設定では、参加者は宇宙飛行士となり、機械の故障から不時着してしまい、遭難してしまいました。
不時着時の衝撃で宇宙船はほとんど壊れ使用不能となりましたが、リストにある15アイテムは破損を免れて完全なまま残っていましたので、母船に無事たどりつくためにそれを使用して話し合うこととなりました。
15アイテムの中で必要なものから重要度の高い順に1位から15位までの順位をつけていき、専門家の回答結果との差異が少なくなるようにチームで話し合うゲームです。
NASAゲームでは、個人の意見とチームメンバーの意見をすり合わせながら、チームで同じ解答を選ばなければいけません。 いわゆるチームメンバーとの合意形成(コンセンサス)が必要がとなるゲームです。
社会人になって、会社という組織、チームの一員になります。チームとしての意見をまとめていくことがどれだけ大変で、どれだけ重要なのかを理解してもらうためにはキッカケづくりには最適なゲームです。
砂漠からの脱出ゲーム
砂漠からの脱出ゲームゲームとは、研修や採用選考時のグループワークでチームビルディングの要素を学べるゲームです。 グループとチームは目的意識を持って、活動しているかどうかが大きな違いですが、ただのグループからチームに変化していく流れを体験することができます。
砂漠からの脱出ゲームゲームでは、個人の意見とチームメンバーの意見をすり合わせながら、チームで同じ解答を選ばなければいけません。 いわゆるチームメンバーとの合意形成(コンセンサス)が必要がとなるゲームです。
【ゲームの設定】
ゲームの設定では、参加者の乗った小型飛行機が故障してしまい、砂漠に不時着し、砂漠で遭難してしまいました。
不時着時の衝撃で小型飛行機の中にあった荷物は炎上してしまい、ほとんど壊れ使用不能となりましたが、リストにある12アイテムは破損を免れて完全なまま残っていましたので生き残るためにそれを使用して話し合うこととなりました。
12アイテムの中で必要なものから重要度の高い順に1位から12位までの順位をつけていき、専門家の回答結果との差異が少なくなるようにチームで話し合うゲームです。
全員の解答を一致させる必要があるため、時には意見が対立することも想定されますが、それを多数決や個人の強制(一人の意見)ではなく、 しっかりと話し合って合意することの重要性を理解していただけます。
船長の決断
ゲームの設定では、参加者は大型船の船長となります。天候が急に悪化し、他の船と衝突してしまったという想定です。
船長として直ちに適切な処置をとる必要があります。10個の項目の処置の中から、船長が最も重要で素早く処置しなければならないことを1位とし、1位~10位までの順位を付けてもらいます。そして、チームで出した答えと専門家の回答との差が少なくなるようにチームで話し合うゲームです。
船長の決断では、チームメンバーとの合意形成(コンセンサス)が必要がとなるゲームですがそれ成以外にも「危機管理」の要素が出てきますので、そういった危機管理やリスクマネジメントの研修でも役に立つゲームとなっています。
https://business-games.jp/captains_decision/
ビジネスゲームでファシリテーションが学べるのか?
今回はビジネスゲームのうち、3つをご紹介しましたが、基本的にコンセンサス(合意形成)する内容の方がファシリテーション研修で使用する場合は良いでしょう。
会議やミーティングなどのファシリテーションは基本的に「議論の活性化(発散と収束)→合意形成」という流れで進んでいきます。
ご紹介した3つのゲームではこの「議論の活性化(発散と収束)→合意形成」の流れを体験できるのです。
例えば、砂漠からの脱出ゲームでは、このように議論が進んでいきます。
生き残るために12個のアイテムの優先順位を付けましょう。
【グループワークでの会話】
Aさん:暑い砂漠の中で一番、大切なものは何ですかね?
Bさん:やはり水でしょう!
Cさん:意外に塩分が必要になるから、塩が必要になるのでは?
Dさん:塩分が必要だけど、脱水にならないかな?
こういった話し合いがグループワークでは行われていきます。
そして最終的に優先順位を決めていくのですが、グループメンバーで意見が分かれている状況です。それぞれ意見が分かれている中で、納得できる理由をしっかりと話し合い、お互いが意見を合致できた状態、つまり合意が取れた状態で最終順位を決めていくのです。
このゲームの一連の流れこそ、ファシリテーションに必要な「議論の活性化(発散と収束)→合意形成」を全員が体験でき、頭と体で理解してもらうことができるのです。
業務上の会議やミーティングでは、合意を取っていく話し合いはとても難しいですが、ゲームであればルールが明確なため、実際にファシリテーションの流れについて学ぶことができるのです。
今回はファシリテーション研修に役立つビジネスゲーム3選をご紹介してまいりました。
ファシリテーション研修ではケース(事例)を交えたワークが多くなりますが、どうしても演習のケースも難しくなりがちです。初心者の方や初歩を学ばせたいということであればゲームの方が有効でしょう。ゲームだからこそ、楽しくファシリテーションについて学べるはずです。
ビジネスゲーム研究所 米澤徳晃
研修会社に入社後、研修営業、研修講師業に従事。その後、社会保険労務士法人で人事評価制度の構築やキャリアコンサルティング活動に従事。その後、独立。講師登壇は年間50登壇を超え、講師としてのモットーは、「仕事に情熱を持って、楽しめる人たちを増やし続けたい」という想いで、企業研修を行っている。