営業研修が“伝える場”から“変わる場”へ
営業研修を企画する担当者にとって、永遠のテーマがあります。
それは――「研修で学んだことを、どうすれば現場で実践してもらえるのか?」という問いです。 スライドを使った講義形式、ロールプレイ、ケーススタディ。
これまでさまざまな手法が試されてきましたが、「知識は増えたが、行動は変わらない」「受講直後は意欲的だが、数週間で元に戻ってしまう」――そんな悩みを抱える声は後を絶ちません。 そこで、近年注目を集めているのが「体験型のビジネスゲーム研修」です。
ゲームといっても娯楽ではなく、実際の営業プロセスや商談シーンをリアルに再現した“学びのシミュレーション”。 参加者は「顧客の立場を理解する」「交渉の駆け引きを体験する」「チームで戦略を立てる」といった体験を通して、**座学では身につかない“営業の本質”**を体で理解します。 実際に、ビジネスゲームを営業研修に導入した企業では、 ・ロープレの苦手意識が薄れ、主体的に発言する社員が増えた
・顧客ヒアリング時の質問の質が変わった
・研修後にチーム内で自発的な「学び共有会」が生まれた など、行動レベルでの変化が見られています。 これは偶然ではありません。ゲームには「自ら考え、判断し、行動する」構造が自然に組み込まれており、学習者の脳が“受け身”ではなく“能動”に切り替わるのです。 本コラムでは、営業研修において特に効果を発揮するおすすめのビジネスゲーム5選を紹介するとともに、 営業スキルを伸ばすための要素、導入時のコツ、選び方の基準まで詳しく解説します。
「営業力を、楽しみながら本気で伸ばす」。
そんな新しい学びの形を、ぜひ一緒に体験してみてください。営業向けの社内研修を考えるときにどうしても多くなってしまうのが自社の商品知識やサービス知識を覚える内容だったり、ロールプレイングを通した商談時の営業演習だったりしてしまいます。商品知識などの座学研修では受身になりやすく、人と協働するとは何かについては学びきれません。研修内容をしっかりと営業現場に活かすための1つの手段として、ゲームを取り入れることは有効的といえます。
今回は営業職向けの営業研修で使えるビジネスゲームをご紹介していきます。
営業の仕事において必要な能力・スキルは何でしょうか?
一般的には以下のような能力やスキルが挙げられるでしょう。
1. コミュニケーション能力
顧客のニーズを理解し、効果的に伝えるためには、優れた聴き取りと話す能力が必要です。
2. 交渉スキル
顧客との価格や契約条件に関する交渉を円滑に行うためには、強力な交渉スキルが求められます。
3. 問題解決能力
顧客の問題を迅速かつ効果的に解決するためには、創造的な問題解決能力が必要です。
4. 自己管理能力
目標達成のためには、時間管理や優先順位付けができる自己管理能力が欠かせません。
5. 適応性と柔軟性
市場や顧客のニーズが変化する中で柔軟に対応できる能力が求められます。
コミュニケーションは信頼を築き、交渉は合意に至るため、問題解決は顧客の満足を保証し、自己管理と適応性は目標達成と市場の変化への対応を可能にするのです。 他にも挙げられるでしょうが、前述した能力やスキルは営業職において顧客との関係を構築でき、目標を達成する上には必要不可欠です。
こういった要素が学び取れるゲームを今回はご紹介していきたいと思います。
営業研修で役に立つビジネスゲーム5選
①商談の達人
【概要】
参加者が3〜6⼈程で1つのチーム(企業)を組み、自動車メーカーとなって、自動車の製造・販売を行う経営シミュレーションゲームです。 他の企業と様々な交渉を行いながら、資源や資金を手に入れ、製品をつくり、顧客に販売することで、自社の売上を拡大させることが目的です。
商談の達人では営業や交渉の際に必要となる相手目線や顧客目線の大切さをゲームを通じて体感できます。相⼿を尊重した「Win-Win」の関係性の重要性に気付くことができるのでコミュニケーションの取り方が改善されていきます。
②The 商社
【概要】 The 商社は、参加者(プレイヤー)が3〜6⼈程で、1つのチームを組み、他のチームと様々な交渉を行いながら、ビジネスを設立していくことで、自社を拡大していくビジネスゲーム研修です。参加者が受けさせられている感がなく、熱中して取り組めるゲームです。リーダーシップや交渉力UPにつながり、営業力向上にもつながるゲームです。
“自分から動く”という主体性(リーダーシップ)の重要性や自分からコミュニケーションを取ることの重要性を理解してもらうことができます。
③ヒアリングチャレンジ
【概要】
ヒアリングチャレンジとは株式会社ハートクェイクが提供している提案型営業を体験を通じて学ぶためのカードゲームです。受講者は車の販売員という設定で、来店されたお客様にヒアリングを行います。お客様の発言に対して質問を行い, 最適な車を提案できた受講者(チーム)の勝利です。ゲームを通して何が欲しいのか?(What)だけでなく、なぜ欲しいのか?(Why)を聞くことによる顧客理解の重要性を伝えることができます。
お客様が何を求めているのか?またそれをなぜ欲しているのか?を考えて提案することで顧客が求めているニーズを満たすことができ、本当に喜ばれる結果につながることを理解してもらえます。営業は単なる御用聞きではなく、顧客の持っている潜在的なニーズや困っていることを解決するために存在することが学べます。
画像引用:株式会社ハートクエイク
④営業ゲーム
【概要】
営業ゲームは、営業が予算達成するためにPDCAを繰り返していく疑似体験ゲームです。株式会社マーケットヴィヴィッドが開発した、営業活動における実践的なビジネスボードゲームです。
目標予算達成に向けて、「どのように考え、動いていくべきなのか?」PDCAを繰り返す中で、目標達成シナリオや思考プロセスを体得します。
⑤ビズストーム
【概要】
ビズストームとは、経営を模したボードゲームをプレイすることで、ビジネスに必要な要素を体感的に学び、実践につなげられる研修用のビジネスゲームです。 財務やコミュニケーションを重視したビジネスゲームが多い中、ビズストームは、経営戦略やマーケティングを重視したゲームとなっており、3C分析や経営戦略が求められます。
「顧客に価値を提供し、競合の中から選んでもらう」というビジネスの原則を起点とし、そのためにビジネス全体をどう組み立てるかという視点を身につけることができます。営業に必要なマーケティングの知識もそうですし、自社商品の魅力をどう伝えるかを考えるキッカケになると思います。
今回は、営業研修で役に立つビジネスゲームをご紹介してきました。 毎度、同じような内容になってしまいがちな営業研修をビジネスゲームを使って、面白く、楽しみながら学べるような企画に一度、変えてみてはいかがでしょうか?ぜひ営業研修時に活用してみてください。
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ビジネスゲーム研究所 米澤徳晃
研修会社に入社後、研修営業、研修講師業に従事。その後、社会保険労務士法人で人事評価制度の構築やキャリアコンサルティング活動に従事。その後、独立。講師登壇は年間50登壇を超え、講師としてのモットーは、「仕事に情熱を持って、楽しめる人たちを増やし続けたい」という想いで、企業研修を行っている。